うまくいかない「頑張る子育て」を好転させるコツ 子どもが「よい方向」に進まないのはなぜなのか

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では、子育てはどちらの頑張りでしょうか。おそらく実態としては、2つの頑張りが混在している形だと思います。子どもと遊んでいるときは楽しい頑張りで、子どもに時間を守らせることや、やらなければならないことをやらせるときは苦しい頑張りかもしれません。こうして子どもが刻一刻と成長していくなかで、親の負荷も徐々に減っていき、いつしか子育てが終わっていくのが現実だと思います。

しかし、そうはいうものの、子育ての印象は「大変」の一言です。ということは、苦しい頑張りの時間が多く占めているのではないかと思います。それをそのままの状態で乗り切ることも一つのあり方ですが、楽しい頑張りに振り替えることができるならば、子育てはまた違った印象になります。

楽しい頑張りになるには、「どうすれば今を楽しめるか」と考えるみることです。

言動を観察して、視点を変えてみる

例えば、2歳児のイヤイヤ期は有名ですが、それをうんざりした感情で受け止めるのではなく、次の行動をとってみます。

(1)イヤイヤと言うときと言わないときの違いを観察してみる
(2)日々どのように変化していくか観察してみる

つまり、「観察する」がキーワードになります。観察しているとき人は感情が出てきにくいものです。さらに観察したことを日記に記したり、ブログに書いたり、またはパートナーとシュアするなどアウトプットしていきます。すると1年経って見返すと、随分と子どもが成長したことも確認できます。

発明、発見とは人々が困っていることから生まれることが多いと言います。それと同じで、子育てで困ったら、そこから発見をしてみるのです。

例えば、子どもが頻繁に反抗するのであれば、その共通点を考えてみます。すると、あるパターンがあることがわかります。例えば、「子どもが反抗する前に必ず親が余計な一言を言っている」などです。それであればその一言をなくせば、子どもの反抗は減るはずです。このように観察することによって、ある種の“楽しみ”に振り替えることができるのです。

「苦しい頑張り」は力が入り、視野が狭くなります。すると観察ができません。自分が、頑張りそうになったら、「ちょっと待って。観察、観察」「どうやったらこれが楽しめるかな?」と言葉にしてみてください。すると視点が一気に変わり、楽しさがじわじわと出てくると思います。

子育ては本当に大変な一大“事業”だと思います。しかし、ちょっとした心がけ次第で、楽しさへと180度ひっくり返すこともできます。

「子どもをよくしようと頑張るのではなく、どうやったら今を楽しめるかを考える」をぜひ試してみてください。

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石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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