日本茶輸出「倍増計画」、カギは中国だった 緑茶を飲む習慣のある国で喰い込めるか

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日本の緑茶輸出は、まだまだ伸ばすことができる(写真:鳥居 哲也 / PIXTA)

世界の食の市場規模は年々拡大し、2020年には680兆円に達すると見られている。特に中国やインドを含むアジアの食の市場は急成長が見込まれ、市場規模は世界の半分近くの296兆円まで成長すると推定される。

そのような中、2014年の日本の農産物の輸出額は過去最高を記録したが、それでも6117億円に過ぎない。そもそも日本の食糧の輸出先は関税が低く、しかも非関税措置が厳しくない地域が中心になっていた。そのため、長らく「5000億円の壁」にぶち当たっていたのである。

しかしヘルシーで美味しく、見た目も美しい和食の人気は非常に高い。海外にある日本食レストランは推計でも5万5000店舗以上に上る。そのため、和食に不可欠な日本の食材が海外市場に喰い込める可能性は決して低くない。農林水産業および食品産業の発展のためにも、世界の食市場の成長を取り込む必要がある。

そこで政府は「和食・食文化の普及/世界の料理界で日本食材の活用推進(MADE FROM JAPAN)」、「日本の『食文化・食産業』の海外展開(MADE BY JAPAN)」、「日本の農林水産物・食品の輸出(MADE IN JAPAN)」を3本柱とし、「F」「B」「I」をとって名付けた「FBI戦略」を構築。世界の和食への支持を背景に、2020年までの輸出額を1兆円規模に拡大することを目論んでいる。

その中で牽引役として期待されるのが日本茶だ。

「和食を支えるのは日本茶だ」

「和食を支えるのは日本茶だ」。こう主張するのは、自民党の井林辰憲衆院議員だ。井林氏は深蒸し茶発祥の地であり、荒茶生産日本一を誇る牧ノ原市を含む静岡2区を地盤としている。

「米飯を食べる際に飲むのは日本茶だ。コーヒーや紅茶ではあわない。日本茶が売れれば、和食の食材が売れるはずだ」

井林氏は米と茶を「和食文化を支える2本の柱」として位置付ける。

次ページ2020年150億円の輸出をめざす
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