日本茶輸出「倍増計画」、カギは中国だった 緑茶を飲む習慣のある国で喰い込めるか
中国農産物等輸出促進協議会は、農水省をバックに参加企業を募集。簡易な手続きでもって北京市にある「日本産農林水産品・食品常設展示会」に出品すれば、そのまま「中国の正式認証を付けたブランド品」として中国国内に流通させることができるとした。巨大な市場である中国への進出を望む業者は多く、3億円もの入会金や会費が集まったとされる。
この事件の中心人物は衆議院議員の公設秘書だったが、なぜか次官経験者のみがその肩書の使用が許される「農水省顧問」の名刺を使用していた。2011年12月に野田首相が訪中した際には、野田首相に会場を訪問させて事業に「箔」を付けている。
事件にかかわったとされた中国大使館の一等書記官は、スパイ容疑があるとして警視庁公安部が外国人登録法違反容疑で出頭要請したが、緊急帰国。農水省も2012年10月25日に同協議会への支援を打ち切った。
いわば民主党政権末期の「あだ花」ともいえるこの事件からも、日本からの食品に対して中国が原発を理由に規制する根拠がないことが見てとれるだろう。
中国マーケットには大きな可能性
そもそも中国は世界一の茶生産国。年間23万トンの茶葉を生産しており、緑茶がその85%を占めている。だが日本茶が入りこむ余地はないわけではない。経済発展に伴って膨張する中国人の胃袋は太平洋の高級マグロを食い尽くす勢いの上、爆買いすることで有名な中国人観光客の多くは高額な日本製の炊飯器を購入している。
これは日本の文化への憧れであり、同時に高級志向の表れと解釈できる。そう遠くない将来、その市場が開放され、緑茶を飲む習慣のある中国人にどれだけ喰い込めるかが、日本茶の課題だろう。
もちろん日本を訪れるのは中国人ばかりではない。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、2000万人もの外国人が訪日すると見込まれている。2014年には1341万人の外国人観光客が2兆278億円を消費したことを鑑みると、その経済効果は非常に期待できる。
これを見越して日本政府は、2013年の和食のユネスコ無形文化遺産登録を「ホップ」、2015年のミラノ万博を「ステップ」と位置づけ、オリンピック・パラリンピック東京大会を「ジャンプ」として完成させる予定だ。その際のキーワードは「おもてなし」である。
この「おもてなし」こそ、茶道を完成させた千利休が最上の精神としたものだ。「だからこそ日本茶はクールジャパンのフロンティアだ」と前述の井林氏は述べる。その"健康効果"が日本経済にも及ぶといいのだが。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら