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水原氏「学歴詐称疑惑」に見る"盛る人"の危うさ 理想の自分を目指すも、かつてのウソで台無しに

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  • 城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー
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多くの場合では、彼ら、彼女らのメッキははがれ、「怪しいやつだった」となるのだが、それでおしまいではない。先入観にとらわれない訓練をしない限り、今度は正しい経歴を伝えているのに「あいつも怪しい」と疑い出す、風評被害の世界がやってくる。そんなディストピアを避けるためには、一人ひとりが、第一印象を割り引いた「正味の実力」で評価するしかない。

かつての「盛り」や「ウソ」が自分の身を滅ぼす

擁護するわけではないが、水原氏のような通訳業は本来、翻訳能力が求められる仕事であり、経歴ではなく実力勝負の世界だ。また、ショーンK氏も土台は虚構だったとしても、視点や「コメント力」、そしてその「見せ方」「話し方」が唯一無二だったからこそ、メディアに引っ張りだこになったのではないか。

それだけに、かつての「盛り」や「ウソ」によって、実力が十分に評価されなくなってしまうのは、極めてもったいない。偽りの自分を用いて、ある程度まで上り詰める人間は、その「理想像」に向けての努力も惜しまなかったはずだ。そのパワーを他に振り向けても、なんらかの実績を残せたに違いない。

もっとも今後は、経歴を正確になぞりやすくなっていくだろう。たとえばブロックチェーン技術を用いて、改ざんの難しい電子証明書が普及すれば、大手企業や公職に務める人物は、選考時にその提出を求められるようになる。社会監視が進む懸念もあり、個人的には全面支持できないが、正当な人物評価を行ううえでは、一定の役割を果たすと考えられるし、周囲に目を向けても、昨今の転職ではバックグラウンドチェックが行われることはごく普通になってきているように感じる。

それでも筆者は、技術ベースで環境を整備するよりも、コミュニケーションを中心とした「虚構と真実のギャップ解消」を夢見たい。憧れは肥大化すると、偽りを呼び寄せ、甘い言葉がこだまする。そんなとき、どうにか「偽るのをやめましょう」と忠告しあえる社会を目指せないものだろうか。

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