ラーメン業界、働き方改革で続々新しい味が誕生 のれん分けをせず、チャレンジできる環境に

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その様子は、漫才がブームではなく、「日常的なものになった感覚に近いかもしれない」と笑う。

「ラーメンはいわゆる最大公約数的な“ラーメンっぽさ”を守った中で、突出した個性があるお店に人気が集中する傾向があります。漫才も似ているところがあって、突出した個性や発明とも言える要素をプラスアルファしたコンビが、『M-1グランプリ』のチャンピオンになったりしますよね。毎年新しい人気の名店が生まれ、僕たちの日常の中で当たり前のものになる――という意味では、ラーメンと漫才は似ているところがある」

たしかに、漫才もフォーマットがありながら、千差万別に多様化してきた。いつからか『M-1グランプリ』が年末の風物詩として定着したように、日常に浸透することで、多様なチャレンジが生まれやすくなる。

「牛丼、カレー、ハンバーガー……国民的な人気を誇る食べ物があると思います。その代表的なお店を挙げてくださいと伝えると、だいたい皆さん、同じお店になると思います。おそらくチェーン店をイメージした方が多いのではないかと思います。

大型チェーン店がなくても巨大市場を形成

では、ラーメン店はどうでしょう? 僕がこの質問をすると、多くの人がバラバラの答えになるんですね。個人店がこれだけ乱立していながら、巨大なマーケットになっているものはラーメンしかない。だからこそ、チャレンジャーが多いし、さまざまなブランディングがある」

ラーメン店には、店名の前に付く「ショルダーネーム」と呼ばれるものがある。「中華そば〇〇」「麺屋〇〇」「ジャパニーズヌードル〇〇」など、「ショルダーネーム」からお店の雰囲気を感じ取ることができるよう、各店舗、こだわりを持って名付ける。こうしたディテール一つをとっても、ラーメン文化が他の国民食と一線を画すことは明らかだ。

最後に、ラーメン通である赤池さんに、都合のいい質問をさせていただいた。

「比較的並ばなくても食べることができる、名ラーメンはないでしょうか?」

しばらく考え込むと、赤池さんは「基本は並ばないと食べられない」、そう笑って釘を刺しながら、こんな情報を教えてくれた。

「コロナ禍の影響で、夜に営業しないラーメン店が増えました。実は、まだ戻り切っていない状況で、かつては夜に営業していたお店が、今も昼のみというところが多いです。そんな中、早稲田にある『巌哲(がんてつ)』や中目黒にある『八堂八(やどや)』は夜も営業しています。これらのお店はラーメン界でも一線級の味と人気を誇り、実際、昼間は並んでいるのですが、夜に行くと並ばずに入店できることが少なくない。僕も夜に行くことのほうが多い(笑)」

こうした楽しみ方ができるのもラーメンならでは。ラーメンの多様化は、さらに拍車がかかりそうだ。

我妻 弘崇 フリーライター

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あづま ひろたか / Hirotaka Aduma

1980年北海道帯広市生まれ。東京都目黒区で育つ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始する。2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターとなる。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開している。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。

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