ラーメン業界、働き方改革で続々新しい味が誕生 のれん分けをせず、チャレンジできる環境に

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一昔前なら、“のれんを分け”ではないが、修業先の味を継ぐということが当たり前だったかもしれない。しかし、昨今は有名店で基礎を学び、あえてチャレンジする店が増えているそうだ。どうしてそうなっているのか? 「あくまで僕の個人的な推測ですが」と前置きしたうえで、赤池さんがポイントを挙げる。

「まず一つは、美味しいラーメン店が増えたこともあり、ただ美味しいラーメンを作るだけで成功できるとは限らなくなっていること。オペレーションや経営を理解することも重要ですから、人気有名店で修業することはキャリアアップとして効果的です」

そして、ここ日本でも働き方が多様化してきていることも無関係ではないのではないかと分析する。

船越
桜上水にある「船越」は塩ラーメンを提供(写真提供:赤池洋文)

ラーメン業界にも多様化の波

「ラーメン店経営においても、多様化の波が訪れていると感じます。あるラーメン店にお話を伺ったとき、入ってきたばかりの新人さんが、『僕は3年後には独立したいので、ここで3年間だけ勉強したいと思っています』と伝えてきたそうです。その新人さんは、3年でいなくなる可能性が高い。反面、3年間は働いてくれるから、その間はお店としては計算が立つ。ドライな契約関係のうえに成り立つ雇用が散見されています」

これまでなら、店主(創業者)からお墨付きをもらって独立する、あるいはお店に骨をうずめるといった働き方が珍しくなかった。しかし、「ラーメン業界にも、キャリア形成を考えて参入する人が増えているのではないか」と、赤池さんは語る。

「テレビ業界も、ずいぶんと変わりました。僕らが若手の頃は、先輩が何かを教えるということはなくて、盗んで覚えることが当たり前でした。ですが、今は違います。ラーメンの世界も、時代とともに変わります。今は、副業的にラーメン店を経営したり、異なる分野の飲食店がラーメンを提供したり、いい意味でチャレンジできる土壌や環境ができあがっているではないかと思います」

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