リモート会議を上司の「独り相撲」にしない工夫 心理的安全性を高めるためにできることとは

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メンバー同士が自由に意見を出し合うことで、新しいものを創造していくイメージです。

リアルの会議では、会議の前後や休憩時間に雑談するなど、リラックスした時間や空間が生まれていました。

これはまさに、お互いのつながりを確認できる、心理的安全性が高い場です。忖度なく、突拍子のない意見を出してもとがめられる恐れがないので、新しいアイデアが出やすくなります。

活用したい「ブレイクアウトセッション」

一方で、リモート会議では、短時間で多くの情報を扱おうとするため、上記のような自由に話し合う“余白”がなくなりがちです。リアルの会議で生まれていた心理的安全性が高い場は、リモート会議では自然には生まれません。

そこで、リモート会議でも心理的安全性を確保し、意見を出しやすくするために「ブレイクアウトセッション(オンライン会議ツールで参加者を少人数のグループに分ける機能)」を活用することをおすすめしたいと思います。

例えば、ある程度の人数規模での会議や社内イベントでは、質疑応答の時間があると思います。全体で質疑応答の時間を取る前に、ブレイクアウトセッションで、少人数での感想共有や質問の洗い出しをしてもらうのです。

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さらに、ブレイクアウトセッションに入る前に、「この後、感想や疑問を共有する時間を取るので、まずは1分くらい各自で考えてみてください」と伝えて個人ワークの時間を取ると、その後の対話の密度が深まるので効果的です。

また、リモート会議終了後に、感想や質問がある人に任意で残ってもらうと、参加者間の相互作用を起こす“余白”を意図的に作ることができます。私はこれを「放課後タイム」と呼んでいます。

ぜひ、今回お伝えしたティップスをご活用いただき、日頃のリモート会議における心理的安全性を高め、豊かな対話が生まれる場にアップデートしていただきたいと思います。

心理的安全性を高めるリモート会議の工夫
広江 朋紀 リンクイベントプロデュース ファシリテーター

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ひろえ とものり / Tomonori HIROE

企業の組織開発・人材開発を支援するリンクアンドモチベーショングループのファシリテーターとして、採用、育成、風土改革に20年以上従事。上場企業を中心に1万5000時間を超える研修やワークショップの登壇実績。近年は、マネジメント層を対象とした心理的安全性、エンゲージメント強化に向けたトレーニングや対話セッションの場を多く持つ。著書に『マネジメントに役立つ 心理的安全性がよくわかる本』ほか多数。

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