社員が思わず人にしゃべりたくなるのが効果的なCSR活動《組織・人を強くするCSR 第1回》
思わず人にしゃべりたくなる活動
これは具体的なCSR活動を見ればよく確認することができる。
たとえば、ソニーが昨年「パブリックビューイングin Africa」という活動を行った。同社がサッカーのワールドカップスポンサーになったことをきっかけに、社会活動につなげられないかと実施した活動である。ガーナの野外広場にソニーの大スクリーン、スピーカーを設置、決勝トーナメントに進んだガーナチームの戦いを生中継したのである。
ガーナのテレビ普及率は20%以下で、子供たちはワールドカップでの自国チームの活躍をテレビで応援することができない。そこでソニーがこのような活動を行い、実に1万8000人が集まったとのことである。
ソニーはこの活動に従事する社員を社内公募で集めている。実際にこの活動に携わった人は「ソニーに入社して、これほど面白く、感動した仕事は初めてだ」とのコメントを残しているそうである。
このように、効果的なCSR活動は、社員が「思わず人にしゃべりたくなる活動」である。社員がその家族に、同僚に、そして地域社会で、自社の活動に誇りを持ってしゃべることになる。これがスパイラル的にその会社のブランドを高め、そのブランドがよい人材を集める効果につながる。
CSRの良循環構造を社内でつくる
CSRは本業を通して行うことが必須である。本業を通してCSRを行うということは、社員が自ら仕事を通して身に付けた経験やスキルを社会のために役立てることにつながる。自分が20年働いて身に付けた知識やスキルが、人様の役に立つということは、個人の人生観の肯定につながり、そのような環境を提供できる会社に対する誇りにつながる。