内分泌系ではストレスがかかると、肉まんの皮の部分である副腎皮質からコルチゾールというホルモンが出ます。これが抗炎症作用を引き起こします。抗炎症作用とは、炎症を起こさなくすることです。そう聞くと「体にとってよいことじゃないの?」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。
ストレスで免疫が働かなくなる
炎症が起こるのは体内に侵入した細菌やウイルスを排除するためだからです。有害な細菌やウイルスを殺すために熱や腫れといった炎症が起こり、免疫機能がはたらき出します。
つまり炎症は免疫という生体の防御反応なのですが、体にとって火事のようなものでもあります。たとえば皮膚に問題が起きた場合、サイトカインという物質によって熱をもったりかゆみや痛みをともなったりします。
サイトカインは「おーい、ここに炎症を起こすものがあるぞ」というサインを出す連絡役でもあります。
すると、免疫物質はこれをしずめるために、消防士のように火消しをするために飛んできます。免疫は、防御反応として炎症を起こしながら、その炎症をみずから抑えようという2つの機能を有しているわけです。
しかし、コルチゾールの抗炎症作用は、このサイトカインの動きを止めてしまいます。
その結果、熱やかゆみや痛みは一旦しずまりますが、同時に、火事を知らせる連絡機能も停止してしまうため、免疫自体が反応しません。結果的に、炎症の火種が放置されることになってしまいます。
さらに悪いことに、コルチゾールが高まるとDHEAという、テストステロンやエストロゲンなど若さや元気の素をつくる「ホルモンの素」が減ってきます。一言でいえば、ストレスを受けると元気がなくなってしまいます。ストレスが引き金になって疲れるのは、一つにはこうしたしくみがあるからなのです。
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