スープラにXX…KINTO「旧車愛ビジネス」の深み 新車サブスク企業が送る「わナンバー」旧車

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こうした旧車事業で気になるのは、修理コストだろう。特選旧車レンタカー事業開始から2年が経ち、その間での修復履歴データから修理や運用にフィードバックして対応している。交換部品は純正にこだわらず、ベース車を大切にしながら仕入れた個体を生かすことを重視し、コスト抑制につとめている。

広い世代の心に刺さる「コト売り」の挑戦

過去2年間で、SNSとYouTubeなどを合わせ、約6000人のフォロワーを獲得した。特選旧車レンタカーの利用者総数は、のべ約450人。人気車種は1975年式の「セリカ リフトバック(RA25型)」、1974年式の「カローラ レビン(TE27型)」、そして今回試乗した1985年式のセリカXX 2000GTだという。

4気筒エンジンのセリカに対し6気筒エンジンを積むセリカXXは、ロングノーズが採用されていた(筆者撮影)
4気筒エンジンのセリカに対し6気筒エンジンを積むセリカXXは、ロングノーズが採用されていた(筆者撮影)

利用者の属性は、50代がもっとも多くて、次いで20代。20~30代が全体の3分の1を占めるという。利用シーンは、「家族や恋人との利用」が50%、「1人利用」が30%、「友人同士」が20%。

これまでに「夫婦の思い出のクルマ」「若いころ憧れていたクルマ」「親孝行のためのプレゼント」など、さまざまな声があったそうだ。中には、AT限定免許を解除してMT車にトライした人もいたという。

新規企画としては、今回試乗したスープラシリーズのように、セリカや4輪駆動車など、系譜やストーリーを生かしたラインアップの展開を進めているところだ。また、東京オートサロン2023で注目された「AE86」の電気自動車(BEV)コンバージョン「AE86 BEV Concept」など、話題のクルマのラインアップも実現している(現在は受け付け終了)。

AE86 BEV Concept(写真:トヨタ自動車)

驚いたのは、「旧車の世界ではメーカー間の乗り比べなども大きな魅力となるため、今後は他メーカーの旧車も視野に入れて検討する」という回答があったことだ。トヨタの関連企業としてはなんとも大胆な発想であり、クルマ好きとしてはワクワクする。

KINTOといえば、サブスク。クルマのサブスクといえば、KINTO。

そんな企業イメージが徐々に定着しつつある中、旧車という広い世代の心に刺さる「コト売り」に参入したKINTOのさらなる挑戦を大いに期待したい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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