専門家に聞く、自宅でできる「姿勢改善の方法」 姿勢が悪い人が抱える「恐ろしいリスク」とは

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ただ、人間の体は非常によくできており、筋肉が衰えたら衰えたなりに立てるよう、自動的に姿勢を変えてバランスをとってくれます。

そして、背中が丸まり、肩と頭が前に出て、その代わりに骨盤が後ろに倒れ、お尻が後ろに突き出て、膝を曲げた姿勢になります。

この状態を円背(えんぱい)といいます。街中で腰を曲げてシルバーカーを押しながら歩いている人を見かけたことはないでしょうか。その様子を思い浮かべていただくと、イメージしやすいかもしれません。

姿勢改善が未来の大事故を防ぐ

この円背の状態になることが、転倒の大きな原因の1つです。

人間の頭の重さはどれぐらいかご存じですか。およそ5㎏、スイカ1玉分ぐらいの重さです。

スイカを同じ幅の背の高い台の上に固定して置いているところを想像してみてください。

台がまっすぐのときは、スイカは落ちないですよね。しかし、それをほんのちょっとでも前側に傾けたら、どうでしょう。

手を離せば、スイカもろとも台が前に倒れてしまいますよね。これと同じ理屈です。

筋肉の衰えによって円背になり、重い頭が前方に傾けば傾くほど、人間は転倒しやすくなるというわけです。

もともと姿勢が悪い人は、筋肉が衰えれば、衰えるほど、腰は丸まり、さらに頭は前方に傾いていくので、より転びやすくなります。

つまり、円背にならないよう、それをなるべく悪化させないようにすることが、転倒予防には大切です。

たかが転ぶことと思うかもしれませんが、それが「たかが」ですむのは若かったときの話です。

高齢者にとっては、この事故は「肉体的な老化」の最終到着地である「寝たきり」への出発点となりかねない危険性をはらんでいます。高齢者が転倒すると、骨が弱くなっていることもあり、骨折を起こす危険性があります。

高齢の場合、ケガからの回復に時間がかかるため、長い安静を強いられがちです。その結果、さらに体が衰えていき、寝たきりになってしまう……。

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