彼は1浪の生活も、現役と同じく東京の有名大学を志望し、難関大を狙うクラスに入ります。「教育機関に通うのが人生で初めてだった」と語る彼は、予備校の授業に感激し、勉強にも精を出すようになります。
「プロの授業を初めて受けて、こんなに教えるのがうまいんだと感動しました。ずっとネットで収集した情報を生かして、自己流で勉強していたのですが、塾の先生を信頼して、朝早く起きて予備校に行き、21時くらいまで自習して帰る生活を送りました。もちろん、この1年間も、2ちゃんねるの『大学受験サロン板』と、Twitterの『浪人界隈』はチェックしていました(笑)」
「友達がたくさんできた」と語る有意義な浪人生活を送った彼は、判定も志望大学群は軒並みA〜B判定が並ぶようになりました。
この結果に自信を持った彼は、現役時と同じ大学・学部を受験することにします。しかし、センター試験は82%といまひとつの結果に終わり、結局当初目標にしていた志望校には手が届きませんでした。
この年も一橋に加えて「早慶の中でも行きたかった」という慶応の経済学部、早稲田の法学部にも落ちた伊藤さん。とはいえ、現役で目標にしていた早稲田の社会科学部からは合格をもらい、そのまま入学することにしました。
しかし、彼の受験勉強はまだ終わりませんでした。
憧れの東京での鬱屈とした日々
憧れの東京に行き、入りたかった早稲田での学生生活をスタートさせた伊藤さんを襲ったのは、鬱屈とした日々でした。
「テニスサークルに入って、7月までは大学に通いましたが、夏ぐらいにしんどくなってサークルにも、学校にも行けなくなりました。僕の周囲にいた内部生や推薦入学生は入学前にすでに友達の輪ができて、大学生活を楽しんでいました。
でも、自分は浪人までしてガリ勉をして彼らと同じ大学に入ったのに、友達がいなくて、学校でも馴染めない。だから、彼らの様子を見てより精神的に落ち込みましたね。彼らが悪いわけではないのですが、当時の自分にとっては人生で1、2を争うつらい時期でした」
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