現代人は「ネガティブな感情が湧きやすい」なぜ 湧いてきた感情を「再評価」すると楽になる

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ここに、私たちが感情に振り回されて苦しんだり、感情を持てあましたりする一因があります。いまの社会では、生存にかかわる危機に遭遇することはほとんどないのに、感情は、狩猟採集をして洞窟に住んでいた時代と同じように「短期的に生存・生殖にとって好ましいかどうか」を評価してしまうのです。

つまり、一生懸命、生命の危機を回避しようとして、ネガティブな感情が引き起こされているわけです。

嫌な上司と遭遇した時の感情に「注目」

ここでまた、現実の世界に戻って考えてみましょう。

たとえば、あなたが会社で苦手な上司と顔を合わせたときに、「怖い」「嫌だな」と感じたとします。それがあなたの命を脅かす状況であれば、感情によるとっさの判断で「闘争か、逃走か」を選択すべきですが、多くの場合、きっとそうではないと思います。

その場合、自分に湧いてきた感情が、いまの自分の状況に対して本当に間違っていないか、一度立ち止まって考え直してみたほうが懸命です。

自分と相手との関係性、それぞれが置かれている状況、自分が生きるうえで何を大切にしているか、自分が感じた感情にはどんな背景があるのか……。さまざまな角度から考え直してみたとき、「そこまで気にすることはない」「相手の問題だから私には関係ない」とラクになれることもあるでしょうし、「相手に直接訴えて、この状況を改善しよう」と、「闘争か、逃走か」ではなく「働きかける」という第3の選択肢を選ぶことができるかもしれません。

(イラスト:とみだせな)

こうした一連のプロセスは、脳神経科学の分野で「再評価」といって注目を集め始めています。ある状況に対して感情がとっさに下した最初の評価(primary appraisal)に対して、それが本当に正しいものだったのかどうか、一度立ち止まって再評価(re-appraisal)する、ということです。

ごく簡単にその手順を紹介すると、

ステップ1 自分の感情に気づく
 ↓
 ステップ2 感情を言葉にする
 ↓
 ステップ3 感情の背景を分析する
 ↓
 ステップ4 行動する

といった流れになります。

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