経営者だからこそ感じる「労働組合」の重要性 データ重視で失われた「対話」の共同体を求めて

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青木:本書の言葉で言うと、「民主的多元主義」というものですよね。いくつものレイヤーを重ねることによって中間的なものができてくる。非営利セクターは株式会社とか行政ができないことをやるわけですけど、株式会社とか行政と連携しないというわけでは決してない。だから株式会社のレイヤーと行政のレイヤーといったように異次元を行ったり来たりする存在である必要があるのだと思います。「他の異なるレイヤーにいる人たちが集えるレイヤー」なのかもしれないですけど、そういう言葉がないような気もしています。そういう多層的な状態を民主的多元主義と言っているのだと思います。

非営利セクターとしての労働組合

今井:その民主的多元主義の一つのレイヤーとして、例えば労働者の意見をきちんと代弁する組織を育てていかないといけないのではないか、と思っています。生活協同組合とか労働組合、ワーカーズコープなどそのリーダー的存在も再構築していかないとならないではないのかな、と読みながら思っていました。

青木:僕はD×Pが多くの月額寄付者の方々に支えられていることに希望を持っていて、この点がとても民主主義的だなと思っています。例えば100万円の寄付があったときに、1社が100万円寄付してくれたのか、100人が1万円ずつ寄付してくれたのかって同じ金額だけど、意味が違いますよね。もちろん両方大事なんですけど、D×Pには3000名を超える月額寄付者がいる。この事実は民主主義の一つの形を示しているのだと。

今井:月額寄付や寄付者さんは民主主義の一つの形を示しているっていうのは僕もそういう気持ちはありますね。今ない仕組みだからこそ、さまざまな方が結集して子どもたちのセーフティネットをつくっている、と。

あと、さっきの話の続きで、僕は組合について、学び直したいと思いました。今は日本は労働組合の加入者も減っているし、いろいろなニュースを見聞きすると非正規労働者の代弁者になってないという批判もありますよね。もちろん労働組合ごとで全然違うと思いますが、若い人が入っていないとも言われていますよね。現在主体になりつつある非正規労働者や若い方が、新しく加入しやすいような労働組合の仕組みが必要なのではないか、と。これを非営利セクターと言っていいのか正直わからないですが今までは労働組合を非営利セクターとは思ってこなかった。でも本来、組合って非営利セクター的側面も持っているから、その側面からもう一度捉え直したいなと思っています。労働者の目線で考えたときに、ちゃんと身を守ってくれる組織をつくっていくのは重要ですよね。

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