――ゼブラ企業や100年企業は理念こそ立派ですが、事業を100年続けるのは大変です。秘訣はどこにあるのでしょうか。
100年企業には危機を何度も乗り越えてきた耐久力、レジリエンスが備わっている。そのことが今回、帝国データバンクに依頼した調査によって明らかになった。
帝国データバンクは2008年、創業設立から100年が経過した企業のうち決算書を入手した1913社を分析して『百年続く企業の条件』(2009)という本にまとめている。
今回、分析対象としたのは2008年当時のデータと、2021年度の100年企業7582社、全業種企業24万3399社だ。
まずは2008年当時の、100年企業と全業種企業の平均値を比較してみたい。
本業の儲けを示す売上高営業利益率は100年企業が1.88%、全業種が1.91%で全業種のほうが高かった。一方、本業以外の収益を含めた売上高経常利益率になると100年企業が2.04%、全業種が1.90%で、100年企業が上回った。100年企業は土地や建物など蓄積した資産を活用しているケースが多く、本業以外の収益(営業外収益)が経営を下支えしていた。
100年企業が逆転していた
――2008年からのリーマンショック、2020年からは新型コロナウイルス禍と、大きな危機がグローバル経済を襲いました。2021年度、両者はどうなったのでしょうか。
調査をした2021年はコロナ禍のまっただ中で、多くの企業が業績悪化に苦しんでいたが、驚く結果が出た。
売上高営業利益率は100年企業が1.07%、全業種は▲0.02%で2008年当時から100年企業が逆転した。売上高経常利益率は100年企業が3.05%、全業種は2.50%と当時の差がさらに広がっていた。2008年当時と変わらないのが土地・建物といった営業外収益の存在だ。本業が苦しい時には、やはり営業外収益が経営を下支えしていたことがわかる。
もう一つ目を引いたのが、経営の安定性を示す自己資本比率だ。2008年当時、100年企業の自己資本比率は28.65%、全業種は26.81%と大差がなかったが、2021年度には100年企業36.76%、全業種は26.91%と実に10ポイントも差が開いた。
リーマンショックやコロナ禍をへて、100年企業はより強くなっていたということだ。100年企業はレジリエンス(危機対応力、基盤の安定力)が高いということがわかった。
100年も事業を継続するうえで、もう一つ重要な要素がある。それは「美意識」だ。
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