いくらExcel勉強しても、「役立つ分析」できない訳 99%の人が知らない、分解と比較で成果を出す術

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そしてビジネスではこのような「とりあえず言っておけば済む便利な言葉」がたくさんあります。

「生産性を上げる」「活性化させる」などがその最たる例でしょう。口に出すことは簡単ですが、それらは具体的に何をすることなのでしょうか。どうすれば達成したことになるのでしょうか。意外に答えることが難しい質問です。

もしこれらの質問に答えられないようであれば、達成は難しいでしょう。

「確認の質問」ではなく「育成の質問」

あなたが管理職など人材育成が仕事の一部になる役職に就かれているようでしたら、これらの「とりあえず言っておけば済む便利な言葉」に敏感になっておくことをすすめます。

そして部下がこれらの発言をした際には、その意味をしっかり尋ねるようにしてください

「いま分析してみると言ったけど、分析とは何をすることだと思ってますか?」

「いつも生産性って言葉を使っているけれど、そもそも生産性って何か説明してください」

「組織の活性化が目標? 活性化って、いったいどういう意味ですか?」

これらの質問に対して、「○○を分解する」「○○と比較する」などの具体的な動作が返ってこない場合は、その人物は分析も生産性の向上も組織の活性化もできない人ということです。

具体的に何をするのかがわかっていない人は、何もできない(しない)からです。

動作を答えさせる動作を身につけさせる。これは私がこれまで10年以上、人材育成の世界で仕事において徹底していることです。

成果を出す組織は例外なく、使う言葉に敏感です。記事冒頭の質問は、ただの確認のための質問ではありません。育成のための質問です。

「とりあえず言っておけば済む便利な言葉」は悪でしかありません。ぜひ積極的に「育成の質問」を取り入れてみてください。

深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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