二期連続赤字に沈むワコール「2つのジレンマ」 希望退職150人程度の募集に対し、215人が応募

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ワコールの強みは研究開発、商品企画、生産・品質管理、販売に至るまでの一連の機能を自社で備えていることだが、近年はその強みが逆にあだとなっていた。ワコールでは商品企画が、販売の14カ月前から始まる。ただ「消費者の好みが多様化して流行の移り変わりも早い中で、1年2カ月後を予測しながら作るのはリスクが高すぎる」(矢島社長)という問題を抱えていた。

昔はメーカー主導でトレンドを生み出し、大量生産しても売れ残りをセールでさばくことができた。だが近年、アパレル業界の大量生産・大量消費の悪しき習慣を見直す動きの中で、セールは縮小傾向にある。在庫消化のサイクルは崩れてしまった。

ユニクロが急速に台頭

メーカー主導のサイクルは、ファーストリテイリングのユニクロやしまむらといった、競合他社の台頭によっても大きな影響を受けた。ユニクロは2008年、ブラジャーの下着機能とトップスの役割を併せ持った「ブラトップ」を発売。その後も下着の締め付け感が少ないワイヤレスブラジャーなど、インナーウェア市場に新たな価値観を打ち出した。

英調査会社ユーロモニターによると、女性用下着の国内市場シェア(2022年)は首位がファストリの21%(キャミソールやヒートテックインナーも含む)、2位がワコールHDの19%で、3位にしまむらの14%が続いている。

「今中計で、14カ月スパンを6カ月まで短縮したい。そのためには継続品の比率を上げることが焦点になる」(矢島社長)。継続品とはシーズンごとの新商品ではなく、定番品を指している。現在、ワコールHDは継続品が約4割・残る約6割が新商品となっているが、この比率の逆転を目指すという。

次ページ販路ごとにブランド展開したものの・・・
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事