ヒット連発「スターツ出版」読者に寄り添う凄み ケータイ小説から20年、今もファンを作れるワケ

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その結果、もともとイメージしていた装丁とは、異なる装丁になって発売されました。読者の声を、そのまま本に反映しているんです。

本を手に持つ菊地社長
こちらがその『恋のありがち』という書籍。「3秒で共感できる」シチュエーションが描かれている(撮影:梅谷秀司)
本を手に持つ菊地社長
ショッピングモールでの調査によって、当初予定していたものとは、異なるイラストが表紙に選ばれたという(撮影:梅谷秀司)

「ブルーライト文芸」はなぜ生まれたか

――現在、ネット上でスターツ出版文庫をはじめとする「青くてエモい表紙」の文芸作品のことが「ブルーライト文芸」と呼ばれているそうです。こうした青い表紙も、中高生の意見を取り入れるうちに自然と作られていったのでしょうか。

菊地:そうですね、偶然です。PDCAサイクルの結果だともいえる。読者に寄り添って、反応を見ながら書籍を作っていくなかで、結果的に中高生にこうしたものが好まれることがわかってきた。最初からそれを狙うのは無理ですね。

タイトルも空や星が付く作品が多いから、必然的にそういう色が多くなっていったのかもしれません。

――なるほど。

菊地:何より、これは人間の本質、つまり「青春」じゃないですか。「赤春」とは言わない。だんだんと自我が芽生えて大人になって、それで中学生ぐらいで恋愛の気持ちが強くなってきて青春時代を迎えるわけです。それは、当然ながら青くなるわけです。

弊社には、「スターツ出版文庫」よりも対象年齢が少し低い「野いちごジュニア文庫」というレーベルもあるのですが、こちらはピンクの表紙なんです。

次ページターゲティングを突き詰めて、「青くてエモい本」が生まれた
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