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ヒット連発「スターツ出版」読者に寄り添う凄み ケータイ小説から20年、今もファンを作れるワケ

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  • 谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家
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例えば『すべての恋が終わるとしても ―140字の恋の話―』(冬野夜空)は、この何ページが私と同じだ、という感想がいろいろある。なおかつ、この本は行間が空いてて読みやすいので、他の本は読めないけど、これは最後まで読めると。

すると生まれて初めて単行本を1冊読み切ったという経験になるわけですよ。そこで初めて若い人たちが「紙の本っていいな」と思うようになる。

(撮影:梅谷秀司)

――TikTokを導線として、中高生の最初の読書体験が生まれているわけですね。

徹底したマーケティングの結果、生まれたスターツ出版文庫

――TikTokウケもそうですが、スターツ出版文庫では、本を読まない人をターゲットにしている意識はあるんですか?

菊地:いえ、そういうわけではありません。

ただ、大前提として、いわゆる「Z世代」と呼ばれている人たちに対して、どこの出版社も大きなチャレンジができていない現実があります。生まれながらにしてデジタルネイティブで、はなから本を読まない、と思い込んでいるからですね。

そこに注目しているのが、スターツ出版文庫なんです。その世代に刺さる内容やデザインを心がけています。編集・営業・Webサイトで徹底したマーケティングをする。前編でお話ししたように、作家さんと編集者が2人3脚でやっているので、読者に等身大の作品を作ることができるんです。

――なるほど。中高生をターゲットにするためにどのような取り組みをしているのでしょう。

菊地:10代の子の生活感や恋愛観を現場の編集者が一生懸命見ています。そもそも、うちは編集者のほとんどが20代なので、若い感性を持っている。それとSNSも毎日チェックして、Z世代の流行に、つねにアンテナを張っています。

――実際に、10代の人にインタビューすることもやられているんですか?

菊地:もちろんです。たとえば、編集営業担当が、郊外のショッピングモールにある書店さんに行って、そこにいる中高生に、何パターンかの表紙とタイトルを見せて反応を聞いた、ということがありました。1年目と3年目の若手社員のコンビで、気合たっぷりで1日かけて生の声を集めてくれたんです。

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【聞き込みの結果、当初の予定とは異なる装丁で発売】

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