父親の心得は「スター・ウォーズ」に学ぼう

現代日本の父親とダース・ベイダーの共通点

アナキンは、家族を守るために会社の言いなりになるサラリーマン。残業も休日出勤も断らない。上司に命じられれば、反社会的な仕事さえ遂行する。そんな夫を理解できなくなり、孤独を感じ、苦しむ妻がパドメ。2人の気持ちは離れていく。まさに現実社会のどこにでもある、産後の夫婦のすれ違いのようである。

最終的には、息子ルークが父親アナキンの良心を取り戻す。

父アナキンへの愛と憎しみで葛藤するルークの姿は、思春期に必死に父親を乗り越えていこうとする世間一般の息子の姿と重なる。一度は父親に敗れる。父親という大きな壁に跳ね返されるのだ。しかしジェダイとしての修行を積んだルークは、とうとう父親を倒す。そして愚かな仕事人間だった父親を許す。父親は、死ぬ間際になって、ようやく父としての喜びを知る。父親としての最高の喜び、それは、息子に超えられていくこと。

どこにでもある親子の物語。世界中で繰り広げられている親子の物語。昔からずっとくり返されている親子の物語。曼荼羅(まんだら)のような普遍のパターン。それこそ「フォース」の正体ではないだろうか。

そして親子は力を合わせ、暗黒卿を葬る。これこそ「フォース」、すなわち「愛」や「母性」もしくは「輪廻」という偉大なる力のなせる技。「みんながフォースに従えば、世界は平和になるはずだ」というのが、ジョージ・ルーカスが作品に込めたメッセージに違いない。

「本当に守るべきものは何か」を見失わないために

誰もが愛する者を守りたいと思う気持ちを持っている。本来、愛する者を守るとは、自分ひとりで両手を広げてガードをするという意味ではない。自分以外にも家族を守ってくれる、たくさんの支え合う仲間とつながることである。それを可能にするのも「フォース」の力だろう。

一方で、独善的な気持ちが強くなりすぎると、競い合い奪い合い、勝ち続けることでしか愛する者を守ることができないような錯覚に陥る。会社の出世競争から抜け出せなくなる。業界の中でのシェア争いから抜け出せなくなる。思いどおりにならないと、怒りや憎しみや不信感が増大し、ますます仲間を遠ざける。家族さえも遠ざける。こうしてジェダイでなくとも、ダーク・サイドに引きずり込まれる。

たしかに仕事をしなければ、家族を守っていくことはできない。しかし、仕事に人生を奪われてしまったら、そもそも家族との幸せな生活を守ることなどできない。本当に守るべきものは何か。それを見失いそうになったときこそ私たちは、「フォースを信じろ」というオビ・ワンの言葉を思い出すべきなのかもしれない。

このような観点から見ると、「スター・ウォーズ」とは、親子のつながりや家族との時間よりも仕事を優先する世相への、痛烈で壮大な風刺映画となる。

かくいう私も、サラリーマン時代は完全にダーク・サイドに堕ちていた。しかし息子の誕生が、私の人生観を変えた。「今、子供と一緒にいられなかったら一生後悔する」。ライフスタイルを変える必要性を感じ、私は会社を辞めた。無謀な決断だったかもしれない。他人にはお勧めできないものの、おかげでダーク・サイドから抜け出すことができた。つまり、私もアナキン同様、息子に救われた父親ということになる。

2015年12月に公開予定の新作ではどうやらルークの子ども、しかも娘が活躍するようだ。もしかしたらおじいちゃん譲りのおてんばで、それに手を焼く父親としてのルークが描かれるのかもしれない。また、アナキン、ルーク、それぞれの強敵でありながらどちらも哀れな死を迎えた殺し屋ジャンゴ・フェットと賞金稼ぎボバ・フェットの親子の子孫も登場し、スカイウォーカーの子孫にリベンジを試みるのではないかと思う。

親子関係、家族愛、ワークライフバランス、共同体意識、ノブレス・オブリージュ――。父親として大事なことは全部スター・ウォーズから学べる。

”May the Force be with you.”

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