海外メディアが報じた「日本の物流業界」の大問題 2024年問題の根本にある日本の慣習と非効率さ

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東京のシンクタンク、NX総合研究所のリサーチフェロー、田阪幹雄は「ハードランディングになると思う」と話す。

政府は、ワークライフバランスの余地がほとんどなく、過労死さえも引き起こしている日本の極端な労働文化に対して、さまざまな業界の労働者が反発していることから、対策に拍車をかけている。

建設労働者、医師、バスやタクシーの運転手も残業が制限される。トラック運転手と同様、100人の応募者に対し130人の求人がある日本では人手不足のため、長時間労働になることが多い職種だ。

これらの業界もまた、上限規制導入の衝撃に備えている。しかし、トラック運送業にとって、この試練は特に深刻だろう。

2030年時点で700億ドルの経済的打撃

日本では貨物の90%以上が陸路で輸送されている。失われた残業時間により、アナリストは来年の配送能力は14%不足すると予測している。

毎月100時間以上の残業をしているドライバーもいる。しかし、4月からは残業時間の上限が月平均80時間、もしくは1日15時間までとなる。

政府の試算によれば、10年後までに日本の貨物の3分の1が配達されないまま放置され、2030年時点で700億ドル(約10兆円)の経済的打撃を受ける可能性があるという。田阪氏は、この混乱が「一種の不況」を引き起こす可能性があると警告している。

残業時間の上限規制が実施される前に、すでにドライバー不足の影響は広く及んでいる。

コンビニは弁当の配達を1日3回から2回に減らしている。スーパーマーケット・チェーンは、配達に1日余分にかかるようにし、夜間配送を避けている。また、政府の指導の下、配送センターを共有し、箱のサイズを標準化しようとしている。

エコノミストによれば、新しい時間外労働規制が施行されれば、1日や2日の配達は不可能になるかもしれないという。食料品店では新鮮な魚介類や果物・野菜が少なくなるかもしれない。送料は10%跳ね上がるかもしれない。クリスマスや正月などの繁忙期には、配送ができなくなる顧客もいるかもしれない。

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