家族社会学者が語る「多様化する結婚のカタチ」 今や「個人化の時代」で「選び」続ける人生に

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「親戚の〇〇お姉ちゃんは24歳で結婚したから私も、それくらいで結婚するのが妥当」「近所の△△お兄ちゃんは高卒で就職し、5年後にお見合い結婚したから、自分もそういうふうになるのかな」といった周囲の人々の経験や価値観から導き出されるロールモデルと、自分の思い描く結婚観に大きな違いがなければ、問題は起こりません。

先達である彼らを見習い、自分も同様の「結婚」を目指せばいいわけですから。

ネット社会は人々を救う可能性も

しかし、そうでない場合は、なかなかつらい状況が発生します。

周囲が全員異性愛者(と見える状況)なのに、自分が同性愛者であると自覚していたり、周囲が「恋愛から結婚」を当然のものとしているのに、自分だけはその価値観に同意できなかったり。

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コミュニティの中に、自分と同じ性的指向や悩みを持つ人がいなければ、その人は孤立し、悩み、苦悩し、心を病んでいくかもしれません。それは「自分らしい選択をできない」孤独感でもあるでしょう。

ネット社会はその制限に風穴を開け、空間を飛び越えて、より多様な情報を取得する手段、人々が出会う機会を増幅させました。

自分の生きるコミュニティとは異なる価値観もこの世にあるのを知ることができ、さらには同じ価値観を持つ人と出会い、コミュニケーションすることで救われた人も多かったはずです。

その意味では、ネット社会は人々を救う可能性もあるわけで、今後さらに「結婚」の形が多様化していく可能性も十分にあります。

山田 昌弘 中央大学 文学部 教授

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やまだ・まさひろ / Masahiro Yamada

1981年、東京大学文学部卒業。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。

親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解く試みを行っている。学卒後も両親宅に同居し独身生活を続ける若者を「パラサイト・シングル」と呼び、「格差社会」という言葉を世に浸透させたことでも知られる。また、「婚活」という言葉を世に出し、婚活ブームの火付け役ともなった。『結婚不要社会』、『新型格差社会』、『パラサイト難婚社会』など著書多数。

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