著作権放棄ツール「CC0」は何を変えるのか 実は煩雑だった「パブリック・ドメイン」化
映像や音楽、マンガなどのクリエイターが、自分の作品に関する著作権を放棄して、「自由に使ってかまわない」という意思を示すための新しいツールが注目を集めている。「CC0(シーシーゼロ)」と呼ばれるもので、日本語版が5月上旬、インターネットで公開された。
ネット時代の新しい著作権ルールを提唱する国際組織「クリエイティブ・コモンズ」が、このCC0を提供している。
クリエイターは、CC0を使うことで、自分の作品をいわゆる「パブリックドメイン」で提供することを示すことができる。これまでもクリエイティブ・コモンズは、クリエイターが「この条件を守れば、自分の作品を自由に使ってかまわない」という意思を示す「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)」の提供を行ってきた。
今回公開された「CC0」は、どういう背景でつくられたのだろうか。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの理事を務める水野祐弁護士に聞いた。
「著作権の放棄には、法制度上の課題があった」
――今回公開されたCC0は、どんなときに利用するのか?
CC0は、クリエイターなどの権利者が、自分の作品やデータベースなど(以下、合わせて「作品など」)を、誰でも自由に利用できる「パブリックドメイン」の状態で提供したいときに利用できます。ほかの人は、その作品等を著作権法上の制約などをいっさい受けない状態で、自由に利用できます。
――どうして開発したのか?
これまで、著作権の保護期間が終了していない作品などを「パブリックドメイン」の状態にすることは非常に困難でした。国や地域によっては、クリエイターなどの権利者が著作権を放棄したくても、できない状況でした。この問題を解決するために、すべての著作権とそれに隣接または関連する権利を、簡便かつ徹底的に「放棄」できる汎用性を持ったツールとして、CC0を開発・提供することにしたのです。
クリエイティブ・コモンズがこれまで提供してきたCCライセンスと同様に、インターネット時代における作品などのスムーズな共有と、創造性豊かな環境、オープンなカルチャーを実現する目的があります。