著作権放棄ツール「CC0」は何を変えるのか 実は煩雑だった「パブリック・ドメイン」化
――具体的にどうやって使うのか?
インターネット上で、CC0を使いたいクリエイターなどの権利者は、CC0適用ツールを使います。
必要事項を選択し、完了すると、HTMLコードが表示されますので、それをコピーして、自分のウェブページのソースに貼り付けます。このコードによって、CC0のマークが表示されます。このマークがあることで、作品を見た人たちは、その作品がCC0であることがわかります。
これまでのCCライセンスでは、いちばん制約の少ない「表示(BY)」のライセンスであっても、作者名や作品名などを表示するという条件があります。しかし、クリエイターなどの権利者には、この「表示」の条件も外したいというニーズがあります。そのような「表示」を求めない権利者は、CC0を活用していただけると思います。
また、CC0が付いた作品を使いたい人は、ほかのパブリックドメインの作品と同じように、作者名や作品名などを表示しなくても、自由に利用することができます。なお、CCライセンスと同様に、CC0も、インターネット以外でも利用することができます。
「取り消すことができないので、十分な検討が必要」
――どの国でも利用できる?
「CC0は、世界共通の文面を使用しており、各国語に翻訳されています。それぞれの翻訳が正式版として効力を持つ『世界標準』のツールです。法律に詳しくなくても、利用条件を一見しただけで、はっきり理解できるものになっています。世界中の人に、同じ条件で、簡便に使ってもらえるのが、CC0の大きなメリットのひとつです。
――具体的には、どんな使用例があるのか?
たとえば、米ハーバード大学や英科学誌『Nature』による、出版物のメタデータ(書誌データ)をオープンデータ化するなどの取り組みがあります。ほかにも、『Safecast(セーフキャスト)』の放射線量データなどがあります。
また、EUの文化資源アーカイブとして知られる電子図書館「Europeana(ユーロピアナ)」や、世界最大の写真共有サービス「Flickr(フリッカー)」でも採用されています。
最近では、日本のハードウェア・スタートアップ「exiii(イクシー)」が、筋電義手「HACKberry」のソフトウェアやデザインデータをオープンソースにして、公開しました。私もサポートさせていただいた事例ですが、このプロジェクトでもCC0が活用されています。
――利用する際に注意すべき点はあるのか?
主な注意点としては、みずからがすべての権利を有している作品などにしか、適用できないことがあります。
また、CC0を使うと、その作品などについて、著作権および関連する権利のいっさいを永続的に放棄してしまうことになります。したがって、取り消すことができなくなるので、十分に検討したうえで利用する必要があります。
CC0の詳細は、クリエイティブ・コモンズのウェブページで確認できます。
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