携帯GPS、「事前通告なしで捜査利用」の課題 国内最大シェアのiPhoneの情報は取れない
天気予報や地図アプリはもちろん、FacebookといったSNSなど、多くのサービスで活用される携帯電話のGPS(全地球測位システム)位置情報。この「あなたが今どこにいるか」という情報を、本人への通知なしに、捜査機関が利用できることになりそうだ。
位置情報を用いた捜査の規定は、個人情報保護に関するガイドラインに、2011年の改正で加えられた。「位置情報が取得されていることを利用者が知ることができるとき」という文言が記載され、事前に本人に通知をする必要があった。
だが、情報を取得していることを容疑者に知られてしまっては、有効な捜査ができない。そこで総務省はこの文言を削除する改正案を、4月17日に発表した。5月22日までパブリックコメントで意見を募集し、6月以降に運用される見込みだ。
今後使用される位置情報は、精度も高くなる。これまで捜査に利用してきたのは、基地局レベルの位置情報だった。携帯電話会社は、どの基地局の電波が届くエリアに、携帯電話が存在しているのか、定期的に通信して把握している。
ただ基地局のエリアは数百メートルから数キロと範囲が広く、おおまかな場所の絞り込みしかできなかった。GPSを使うと基地局よりもかなり正確な位置がわかるため、早期の検挙につながると期待されている。
「常時監視は考えていない」
気になるのは、どのような場合に利用が認められるのか、ということだ。GPS位置情報を捜査機関が取得する際は、プライバシーの侵害を引き起こすおそれがあることや、不当な捜査を抑止するといった観点から、裁判官による令状が必要になる。警察が裁判官に捜査の状況を説明し、必要と判断された場合にのみ許可される。そのうえで、NTTドコモなどの携帯電話会社に協力を依頼する形だ。
協力する携帯会社側の負担も考慮し、「期間は1週間、1日に朝昼晩の3回などと制限した形で取得することになる。一部報道にあるように、常時監視などと継続的に情報を取得することはまったく考えていない」(警察庁・刑事局捜査支援分析管理官付の担当者)。
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