税金の無駄使い?マイナンバー制への懸念 住基ネットの“いつか来た道”を繰り返すな

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
プライバシーの問題に配慮しつつ、個人情報をどう整理していったらいいか。悩みどころだ(写真:Courtyardpix / Imasia)

12月14日に投開票された衆議院総選挙の前後に、実は動きがあった国の大規模プロジェクトがある。2016年1月に運用が開始されるマイナンバー制だ。システム構築の一般競争入札が不調に終わっていたのだが、解散のどさくさに紛れて大きなニュースにならなかった。「仕様が未確定なうえ、受注者の負担が大きい」のが原因という。税金の無駄遣いになる懸念もある。

マイナンバーが必要になったワケ

そもそもマイナンバーとは何か。さまざまな行政事務はそれぞれ個人を特定づける番号がある。基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポート番号、納税者番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号などだ。これを1人の個人の側からみると、それぞれの番号はまったくバラバラ。そこで個人1人1人に固有の番号を「マイナンバー」として付与して、それをさまざまな行政事務にかかわる番号に関連づけて整理することで、住基ネットを通じて横断的なサービスが受けられるようになる。

マイナンバーとして各個人に割り当てられる番号は12ケタ。地方自治体が保有する氏名、住所、生年月日、所得、税金、年金といった個人情報を照会する。個人が希望すれば顔写真付きのICカードも交付されるので、「身分証明書としても使えます」と行政側はうたい文句にしている。

「1000兆円を超える国の借金を補填するため、国民の預貯金を捕捉するのが最終的な狙いなのか」という見方はうがち過ぎとしても、国の情報は秘密、個人の情報は丸裸ということになりかねない。

マイナンバーの導入スケジュールは2013年5月に成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に定められている。(1)2015年10月から個人番号の通知、(2)2016年1月から個人番号の利用開始、(3)2017年1月から国機関で情報連携、(4)2017年7月から自治体を含めた公的機関での連携利用――と、段階的に利用が拡大される方向だ。

次ページ年金問題のトラウマとは?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事