税金の無駄使い?マイナンバー制への懸念

住基ネットの“いつか来た道”を繰り返すな

「各省庁統一個人コード連絡研究会議」が設置された1968年から半世紀、念願成就といったところだが、「国民総背番号制」では国によるプライバシー侵害と強烈な反発があったのに、呼び名を変えただけですんなり通るのはいかにも不思議ではある。ともあれ、安倍首相が民主党案を呑んでまで法律を成立させた背景には、2007年に政権を根底から揺るがした年金記録問題のトラウマがある、といわれる。

既発注390億円はごく一部

システムの入札では、「中間サーバー・プラットフォームの構築・運用業務」をNECが2014年1月に約200億円で、「情報提供ネットワークシステム」と「番号生成システム」を、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所で構成する5社コンソーシアムが2014年3月に計約192億円で落札している。

当初、システム開発の初期費用は3000億~4000億円、年間運用費は300億円と試算されているので、既発注の390億円はごく一部に過ぎない。2016年中にいくらでも関連の仕事が出てくると見て、IT業界はウハウハ状態だが、そうは問屋が卸してくれそうにない。

というのは、3月に発注先が決まった「情報提供ネットワークシステム」と「番号生成システム」は個別の一般競争入札だったが、応札したのは5社コンソーシアムだけだった。住基ネットに関わった様々なITベンダーが協力する必要がある、という説明は分かるが、大手5社の連合に対抗する企業があるとは思えない。にもかかわらず、実質的な随意契約ではないか、との批判があまり聞かれないのはどういうことなのか。

それだけではない。11月10日に行われた「中間サーバー・プラットフォーム構築」プロジェクト管理支援業務の調達は不調に終わってしまった。応札者がいなかったのだ。東日本・西日本に1セットずつサーバーを置き、全国1700の地方自治体とネットワークで結ぶシステムだが、ネットワーク先の自治体をサポートする手間やシステム連携によって発生するトラブルなどリスクが大きい、といわれる。

だが、それは表向きの理由で、実態はかなりややこしい。システムを立ち上げるには、自治体が保有している各種の情報に付番(マイナンバーを連携づける)しなければならず、行政事務への適用の詳細は未定というのが実情だ。簡単に言うと、要件が曖昧なまま受注したら、あとあと大変なことになるというのがITベンダーの本音だ。

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