税金の無駄使い?マイナンバー制への懸念 住基ネットの“いつか来た道”を繰り返すな

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一方、システムの利用者である自治体側は、「全自治体の足並みが揃えば、申請に必要な添付書類を確認する作業が減るので公務員の人件費が減る」という積極派と、「システムを改造するため、短期的にコスト増になる」という消極派がほぼ半々。多くの自治体が、情報システムの開発・運用をITベンダーまかせにしているので、「どこまで使えるか分からない」が正直なところといっていい。

住基ネットの“いつか来た道”

思い出すのは小泉政権の「e-Japan」で電子自治体の実現を目指した「住民基本台帳ネットワークシステム」(住基ネット)だ。住民票コード(住民番号)をベースに様々な行政手続きや納税が電子化され、将来はハンコが要らなくなる、政策決定プロセスの透明化が高まると期待された。

その基盤となる住民基本台帳カードの交付枚数は、運用開始から12年経った2014年3月末現在、有効交付枚数は666万枚(累計834万枚)というから、成人人口の5%程度。対してシステムの運用費は年間約130億円なので、12年間の単純計算では1500億円を超す。住基カードは「身分証明書としても使えます」のレベルに留まっている。

総務省は手続きの効率化や切手代の節減などで約510億円のコスト削減効果があると主張するが、相変わらず運転免許証の携行は必須だし、住宅ローンのために様々な証明書が必要だ。住民(国民)目線では、利便性は一向に改善されていない。住基ネットの“いつか来た道”にならないよう、国に自分の情報が管理・監視されないよう、目を配る必要がありそうだ。

佃 均 IT産業アナリスト

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つくだ ひとし / Hitoshi Tsukuda

30年を超える専門記者の経験と知識、人脈を通じて、IT産業の収益構造や雇用問題などの分析および、史的考察を行っている。

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