「心身に巣食う闇」を追い払うメンタル安定法 「死病」という絶望から立ち直った哲人の教え

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とはいえ、力をもっていても、それを発揮するためには条件があります。それは、心を常に積極的にすること。向上心や理想というものが、人間としての成長をする鍵なのです。

“自分は駄目だ、俺は生まれつき心が弱いんだとか、神経が過敏だからというふうに価値のない、安っぽい見切りを自分につけないことであります。”

積極的精神とは、自分の可能性を徹底的に信じる気持ちのことだととらえることもできます。そしてそれは、先天的に備わっているものではなく、誰もが後天的に備えることができると中村天風は説いています。

なぜなら私たちは、「万物の霊長」だから。人間としてその能力を与えられたのだから、しっかりと行使しなければ宝の持ち腐れになる、ということでしょう。

自分のことを信じていなければ、

“自分で落っこちたらいいような大きな穴を掘って、自分で落っこっているのと同じ結果をつくっちまう”

ということになりかねません。

中村天風の言葉をかみ砕いてひと言で表現するのならば、「あなたは可能性のかたまり」ということです。もっともっと、自分を信じてあげようではありませんか。

失敗してもへこたれない心の態度をつくること

高い理想を持っている人ほど、少しの失敗を許せない完璧主義な気持ちが芽生えることもあるでしょう。

それに引っ張られて、怒り、憎しみ、妬みといったマイナスの感情に支配されると、自分を見失ってしまいかねません。それは言わば、“負のスパイラル”にはまってしまった状態。

そうならないために、この言葉をお伝えします。

“闇は光が照らせば消えるだろ?”

なにかネガティブなことを考えてしまったら、すぐにそれを打ち消しましょう。それを繰り返せば、客観的に自分の心の状態を見る習慣がつきます。

人間の心には習慣というありがたい特殊な性能があるんだから、倒れたら起きろ、転んだら飛び上がれっていうふうにやっていると、我々の心は積極的に変わるんだからね。やってごらんなさい。

たとえ失敗しても、もう一度起き上がればいいだけのこと。それを中村天風は教えてくれます。

誰だって過ちを犯したり、ミスをしたり、消極的になったり、マイナスの感情を抱いたりします。大切なのは、それにとらわれないことなのです。

また、人がどんなにあなたのことを思ってくれていても、悪気はなくても、その意見やアドバイスがプラスに働くとは限りません。自分に必要なものは自分で決めることが大切です。

次ページ時代を経ても心に届く中村天風の言葉
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