サッポロ社長「3Dは買収家のスティールと違う」 独占取材に「ビール特化方針」の理由を語る
不動産とビールで定量的なシナジーを生み出すことは難しい。とはいえ恵比寿や札幌は発祥の地であり、関係性を維持する必要がある。ブランド接点が大事であり、どのように資産を持つのかは慎重に検討したい。
──2004年にスティール・パートナーズに買収提案を受けて、数年にわたる攻防が続きました。
どちらかと言うと多様化へ向かったが、その路線で業容が間延びしてしまった。
主力はビールだけれど、食品・飲料に比重を置いてM&A(合併・買収)も行った。だが、ナンバーワンメーカーと一緒になれたわけでもなく、国内市場が縮小する中で統合のやり方がアンマッチだったりした。食品・飲料ではポッカが強みとした自販機が、全体として弱くなってきている。
3Dはそろそろエグジットするのでは
──ファンドによる株式の買い占めを防ぐために、他社提携などで大株主の構成を見直す動きはなかったのでしょうか。
資本や株式について、当時の経営者がどう考えていたかはわからないが、自社独立でやりたいと思っていたのは事実。
振り返るとスティールは買収家だった。その点、3Dはアクティビストで利益を得るためにやっている。スティールとはまったく違う。
3Dは持ち株比率を2割くらいにまで上げるかと予想していたが、逆にそろそろエグジット(投資回収)をするのではないか。彼らに株売却について尋ねたら、向こうも笑っていたが。
──3月末の株主総会を経て社外取締役になることが内定した藤井良太郎氏と岡村宏太郎氏は、3Dが推薦した人物です。直近では外資系投資ファンドに在籍しており、資本市場への知見が深い2人です。
藤井さんは昨年9月に設置した「グループ戦略検討委員会*」のメンバーで、その時に3Dから推薦された。最初は構えたが、本当に優秀な方。今までの議論を熟知されているし、いい刺激をいただけるという観点で選んだ。