サッポロ社長「3Dは買収家のスティールと違う」 独占取材に「ビール特化方針」の理由を語る
──中長期経営方針で、不動産をコア事業から外す方針を明らかにしました。3Dの要求を反映させてのことですか。
尾賀 3Dとはずっと対話を続けているが、それで今回の結論が導き出されたことは一切ない。酒類事業の収益性が低い点を指摘されたが、それはおっしゃる通りで反省している。一方で、「食品・飲料はやめなさい」「不動産をぜんぶ売ってしまいなさい」と言われても、われわれにそのつもりはない。
今までは酒類、不動産、食品・飲料と3つの事業が併存していた。これからは酒類を中心事業とし、不動産は中心事業(を成長させるため)の一部になるとの考え方だ。
酒類の中核であるビールは国内市場が小さくなっていく。海外も大変だ。じゃあ何もせず今までと同じことをやり続けていいのか。攻めの経営をして、チャレンジをする会社でありたい。それが趣旨となる。
今までと違う戦略を考えるうえで、結論を出すにはもう少し時間がかかるし、これからドラスティックなことが起きるかもしれない。今の時点では、そこまでしか話せない。
恵比寿ガーデンプレイスは売却しない
──不動産事業もあったので酒類事業に全力で挑戦できていなかったと、3Dは指摘していました。
ここ(恵比寿ガーデンプレイス)ができて30年なんです。バブル時代に計画した不動産事業と酒類事業は、お互いに補完関係にあった。不動産に助けてもらったこともあるし、ビールが助けたこともある。ただ、やはり事業内容がぜんぜん違う。
この30年はデフレで金利も安かったが、これから金利が上昇したときに3000億円、4000億円と借金をしたら金利負担だけで大変だ。ビールでもう一度勝負しようとなったら、どういう体制になるべきか。いろいろな選択肢をトータルで考えるようになった。