「ビールのアサヒ」「多角化のキリン」が決算書から読み取れる。
株式投資を始めた個人投資家にとって、最も必要なのは決算書を読むスキルである。それはビジネスパーソンも同じ。『週刊東洋経済』6月8日号の第1特集は「決算書で儲ける!」だ。
ビール類国内首位級のアサヒグループホールディングス(HD)とキリンHD。ビール業界の2大巨頭といえる両社だが、実は決算書の中身は大きく異なる。
例えば貸借対照表(BS)。アサヒののれん(買収額と被買収企業の純資産との差額)はキリンの約5倍と大きい。総資産のうちのれんが占める割合は、キリンが14%程度であるのに対し、アサヒは40%超だ。両社の資産規模の差を考慮しても、アサヒののれんは大きく膨らんでいる。
その理由はアサヒが進めてきた大規模な買収施策にある。同社は2016年にイタリアなど欧州のビール4社、翌年にベルギーのビール世界最大手・アンハイザー・ブッシュ・インベブから中東欧5カ国のビール事業、2020年に豪州のビール最大手企業を買収。一連の買収額は合計で約2兆3000億円となった。その結果、買収時に計上されるのれんが積み上がってきたのだ。
のれんの累積は注意が必要
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