サッポロHDにアクティビストが株主提案、取締役候補が激白「私が有する経験・知見こそ必要だ」

「世界一低いROE、世界一低い営業利益率、すべての大型M&Aにおける減損、過去一度も達成したことがない中期経営計画」――。シンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズは、ビール大手・サッポロホールディングスを痛烈に批判している。
3Dは、サッポロHDの発行済み株式の約19%(2025年1月時点)を保有する筆頭株主だ。これまで、安定的に利益を生むサッポロHDの不動産事業が経営の甘えを生じさせ、酒類事業の低い利益率を招いたなどと指摘してきた。
今年に入り、3DはサッポロHDに対し株主提案を行った。サッポロHDは、2月17日、28日、3月14日の3度にわたって株主提案に反対する見解を公表。この間、両者は書面で厳しいやりとりを繰り返し、株主へ猛アピール。株主総会を前に緊張が高まっている。
株主に広がる深刻な懸念とは
3Dの株主提案は、監査等委員である取締役1名の選任を求める内容だ。その候補はポール・ブロフ氏。2023年まで東芝で社外取締役を務めた。3Dが会計や不動産、M&Aや資本政策などに関して経験と知見を有すると評価する人物だ。
提案の背景には、サッポロHDが進める不動産事業の方針転換がある。同社は現在、恵比寿ガーデンプレイス(東京・渋谷区)を含めた不動産への外部資本の導入・流動化を検討している。
不動産の売却などを進め、そこで得た資金をビール事業の成長投資に振り向ける方針だ。流動化を求めてきた3Dによれば、売却などを通じてサッポロHDが得られる対価は少なくとも約4000億円に上る。

だが3Dは、サッポロHDに大規模な資産の売却や、資産の再投資を行った経験がない点を懸念している。しかも、サッポロHDは過去のM&Aで多額の減損を計上してきた。
再発防止策は示されておらず、取締役会の専門性や監督機能に疑義が生じていると指摘する。そのため3Dは、専門知識を有するブロフ氏を取締役へ選任すべきと主張しているわけだ。
株主提案に対してサッポロHDは「株主提案の候補者のスキルセットや資質・経験等を踏まえ、ブロフ氏を追加で取締役とすべきとは考えられない」と反対意見を表明している。
渦中のブロフ氏は何を思うのか。同氏が書面で取材に応じた。以下、同氏による説明をポイントを絞って掲載する。
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