藤原実頼が「名ばかり関白だ」と嘆いた背景
「流れがきっともう一度は来るはず」
スポーツの試合でそんな実況を聞いたことがあるだろう。人の一生にも、また流れがある。よい流れに乗ることが大事だと。アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは、こんなことを言っている。
「よい機会に恵まれぬ者はいない。ただそれをとらえられなかっただけなのだ」
時流に乗って若くして富豪になったカーネギーらしい言葉だが、藤原道長の父、藤原兼家もまた紆余曲折を経て「人生の流れ」を実感したことだろう。
兼家の父・藤原師輔は、兄の実頼をしのぐほどの才を持ちながらも、政権を握ることなく、病によって右大臣で死去。師輔亡きあとは、実頼が関白となるが、自らを「揚名関白」つまり、「名ばかり関白だ」と嘆いていたという。


















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