NHK大河ドラマ「光る君へ」がスタートして、平安時代にスポットライトがあたることになりそうだ。世界最古の長編物語の一つである『源氏物語』の作者として知られる、紫式部。誰もがその名を知りながらも、どんな人生を送ったかは意外と知られていない。紫式部が『源氏物語』を書くきっかけをつくったのが、藤原道長である。紫式部と藤原道長、そして2人を取り巻く人間関係はどのようなものだったのか。平安時代を生きる人々の暮らしや価値観なども合わせて、この連載で解説を行っていきたい。連載第2回目は、長男ではなかった藤原道長が出世できた背景を解説する。
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長男に生まれなかった偉人たち
歴史に名を刻んだ偉人の生涯を多く見ていると、実感することがある。それは「何がよい結果につながるのか、また、何が悪い結果につながるのかは、最後までわからない」ということだ。
とりわけ、自分の生まれというものは、努力でいかんともしがたいだけに、「我が身を恨む」ことにもなりやすい。しかし、一般的に不利だとされる環境が、あとあと大きな幸運を連れて来ることも珍しくはない。
幕末において活躍し、今でも多くの新たなファンを生み出している、土方歳三もそうだった。歳三は天保6(1835)年、武蔵国多摩郡石田村(現・東京都日野市石田)の豪農の家に、10人兄弟の末っ子として生まれた。
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