5男で生まれた「藤原道長」想定外の出世の裏側 父親の「遅い出世」が、道長に有利に働いた

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また年少がゆえに、結婚の時期も当然、兄たちよりも遅かった。家から出ることもなく、「東三条院」「東三条院殿」「東三条第」などと呼ばれた邸宅に、道長は兄たちよりも長く住んだ。そのため、姉の詮子と多くの時間を過ごすことになる。

源氏物語の裏に道長の想定外の出世

詮子は兄弟のなかでも、道長と仲が良かったとされている。 詮子が円融天皇に入内して、第一皇子で懐仁親王を出産したことを思えば、そのこともまた、道長の地位をより押し上げる環境へとつながったといえるだろう。

そうして権力を手にした道長が支援したことで、紫式部は『源氏物語』を書き上げることができた。世界最高の文学の金字塔を打ち立てた背景に、5男に生まれた道長の想定外の出世があったことを思うと、何がどう転ぶかは本当に最後までわからないのである。

【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
今井源衛『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)

真山 知幸 著述家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は 『偉人メシ伝』 『あの偉人は、人生の壁をどう乗り越えてきたのか』 『日本史の13人の怖いお母さん』『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)。「東洋経済オンラインアワード2021」でニューウェーブ賞を受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事