残念すぎる社長の「トラブルから逃げ出す」醜態 「現場でうまくやっておけ」で社員の心が離れる
時短を進めていくと、社内外で大小さまざまなトラブルがかならず発生します。社内での反発はなんとか説得できたとしても、社外からの反応には気を遣います。
とくに大口のクライアントから反対された場合、トップが毅然とした態度で時短の意義を説明し、納得してもらえるかどうかは、改革の成否にかかわる大問題です。
社内で威勢のいいことを言っていたのに、大口クライアントからのクレームであっさり時短を取りやめるようでは、社員は会社への不信感を募らせるだけでしょう。
最悪なのは、クライアントの圧力にトップが日和ってしまい、なおかつ対応を現場に丸投げするというパターンです。
「社長! 某メーカーさんが『時短なんてけしからん』とめちゃくちゃ怒ってます。夜の10時から会議をやると言われたのですが、どうしましょうか?」
「ああ~、それはしかたないね。とりあえず、その日は夜10時になってもビルを開けて会議につきあってあげて。うまくやっといてよ」
こんな対応でお茶を濁そうものなら、改革などできっこありません。
たとえクライアントからのクレームはやり過ごせたとしても、現場に「やっぱり社長は本気で時短をやるつもりはないのだ」というあきらめムードが浸透してしまいます。
そのあとでいくら威勢のいい言葉を並べても、もはや社内でまともに受け取る人間はいないでしょう。
「社外との仕事」こそ改革の本丸
時短を推し進めようとするときに問題となるのは、外部のステークホルダー(利害関係者)との関係です。
その過程で起こるさまざまなトラブル処理を、トップが責任をもって引き受ける覚悟が何よりも重要です。トップに覚悟があれば、トラブル発生というピンチを、社内に改革への決意を浸透させるチャンスに転じることができるのです。
電通の時短改革のときも、社員はあちこちで、「商習慣」や「電通たるもの、かくあるべし」のカベにあたっていました。
こういった現実を1つひとつ見直していかなければ、時短は実現できません。
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