現場の士気をぶっ壊す「残念な経営者の失言」3選 「働き方改革」ではなく、「働かせ方改革」である

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電通の長時間労働が社会的問題となると、世の中では「働き方改革」という言葉が飛び交いました。そして2018年には「働き方改革関連法案」と呼ばれる一連の労働法改正も成立します。

「働き方改革」ではない、「働かせ方改革」である

その意味するところに私は反対ではありませんが、雇われている社員の側に「働き方」を改革させようというような語感には、強い違和感があります。

雇う側の経営者が、社員に対する「働いてもらい方改革」を覚悟をもって断行する。それこそが、本筋なのではないでしょうか。

固いことを言えば、「雇用契約」を結んでいる以上、社員(会社法上は「使用人」)は会社の指揮命令に従う義務があります。

よく「部下が言われたことしかやらない」と嘆く管理者がおられますが、雇用契約のもとでは「命じられたこと」以外を行うのは契約違反です。

そこを日本の知恵で「うまくやれと命令する」「自分で考えろと指示をする」という技が広く使われてきたわけですが、これも本来の雇用の定義からすると、雇用する側の責任放棄と言えなくもない。

そこに踏み込むのはこの記事の目的ではありませんが、こと会社の改革に限って言えば、何よりもまず社長自らがはっきりと、こう宣言する必要があると私は考えます。

「間違っていたのは、あなたたち社員ではない。
われわれ経営陣の『働かせ方』が、間違っていたのだ。
それを、いま、どうしても改めたい。
そのために、われわれ経営陣は、具体的な指示をあなたたちに出す。
そうはいっても、われわれにも限界がある。
どうか、協力していただきたい」

改革は、ここからしか始まりません。

書籍『鬼時短』に掲載した【23の「やること」と58の「チェックポイント」リスト】はこちらからダウンロードできます
小柳 はじめ Augmentation Bridge(AB社)代表、元電通「労働環境改革本部」室長

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こやなぎ はじめ / Hajime Koyanagi

1965年生まれ、東京大学法学部卒業。

1988年電通入社。電通勤務の最後、2016年から18年まで、社長特命により電通自身の「労働環境改革」にたずさわる。全社の労働時間の大幅短縮を達成し、残業時間を60%削減した。削減時間は全社で1カ月当たり10万時間超に及ぶ。

2019年、53歳で電通を早期退職し独立。AB社代表として、数多くの企業に時短・業務改革の支援を続けている。

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