売り上げが50倍に「卵かけご飯」600円のアイデア 愛知県新城市の道の駅「もっくる新城」の戦略
地元のテレビ局の情報番組や新聞、雑誌に紹介され、朝から多くの客が訪れるようになった。朝9時から11時までの年間売り上げは約30万円だったのが、卵かけご飯モーニングを始めると、50倍の約1500万円まで伸ばした。
「卵の高騰で今では1人3個までにしていますが、それでも行列ができるほどの人気です。卵かけご飯に入れる揚げ玉やきくらげ、メンマなど20種類の具材や、味付けもしょうゆだけではなく塩や味噌も用意して、いろんな味が楽しめるのがウリです」(田原さん)
また、駅内の売店の混雑がピークになる時間帯はこれまで11時だったのが開店時間を早めたことで9時半になり、売り上げも伸びていった。そこで田原さんはオリジナルのお土産物の開発に着手した。まず、最初に発売したのがスープにイノシシの骨を使った「シシラーメン」。1ロットあたり2万食という膨大な注文数に会社の上層部は難色を示したが、1年もかからず完売した。
「新城は同じ東三河の豊橋や蒲郡、田原などと違って、これといった名物がないんです。そこで人気の商品を巨大化して売ろうと考えました。例えば、全長110センチの五平餅とか。多い時で1日20本は売れました。今でも4、5本は出ていると思います。それと、巨大なロールケーキやメロンパンも作りましたね」(田原さん)
巨大グルメも多くのメディアに紹介されたが、それらは新城の名物なのかというジレンマは常にあった。新城の山で狩猟したウサギや山羊、熊、雉などのジビエも秋冬にしか提供することができず、通年用意できる名物がなかったのだ。
目標は全国の銘柄鶏が一堂に会する鶏サミット
コロナ禍の2020年、世の中にはテイクアウトの唐揚げ店が続々とオープンしていた。田原さんもそのブームに乗ろうと、鶏肉の卸業者と頻繁に打ち合わせをしていた。
「ある日、卸業者が見慣れない部位の鶏肉を持ってきました。それが東三河産の錦爽どりの胸肉と手羽元の間にある肩肉でした」(田原さん)
肩肉は水分量が多く、唐揚げにするとジューシーで、煮込んでもパサつかず、しっとりとした食感に仕上がった。調理法を問わず、さまざまな料理に活用できるうえに、1年中提供することも可能。田原さんは“鶏とろ”と名付けて、駅内のフードコートのメニューに取り入れた。
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