生成AI時代「データ参謀」に向く人、向かない人 必須3スキル「質問力」「俯瞰力」あと1つは?

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また、AIを相手にして一度で完璧な回答が返ってくることは稀です。まずは簡潔な指示からスタートして複数回にわたって指示を追加していく、曖昧な言い回しは排除する、 範囲を絞り込む、形式を工夫する……などの方法を何度か繰り返すことで、より的確な答えにたどり着けるでしょう。もちろん、そこで提示されている内容が正しいかどうかのファクトチェックもお忘れなく。

生成AIとのこうしたやり取りは、ITのシステム開発現場などで使われる「要件定義」のスキルを磨く振る舞いとも実は共通しています。

要件定義とは、必要な機能や達成すべき要求を想定し、わかりやすくまとめていく作業であり、システム開発の重要なステップです。生成AIをうまく使いこなす参謀を目指すためには、要件定義をいかに簡潔かつ有効にできるかが重要です。

SNSを検索すれば、エンジニアリングの知識を持つ人々が用意したプロンプト(指示)のフォーマットがすぐに見つかります。ファーストステップとしてはそうしたフォーマットを試してみるのもいいですが、他人がつくった型を使い回しているだけでは、要件定義のスキルや問題の本質を自力で掴みにいく力は身につきません。

専門人材が用意してくれたフォーマットを参照しながらも、できるだけ自力で達成したい内容と目的を考え、オリジナルのプロンプトを創り出してみることをお勧めします。

必須スキル②「俯瞰力」でAI人材の力を補強する

データ参謀のスキルを身につけるためには、生成AIの使いこなしと並行して俯瞰力も鍛えておきましょう。

AI人材やデータサイエンティストが得意とするのは、大量に収集されたデータを活用し、いったん設定された課題に対し何かしらの考察を導き出すことです。これらの専門職の強みは、データの取得の仕方やデータの欠損などの違和感に気づく経験値、データに基づく事象理解の解像度の高さです。

しかし、データだけでなく、その周辺にはたくさんの前提が入り乱れています。業界の構造、市場や顧客の特性、競合他社の動き、社会の動向など、データに影響を及ぼすさまざまな要素を把握することなしには、数字から正しく因果関係や相関関係を見つけ出すことは困難です。

だからこそ、ビジネスの現場においては俯瞰の目線で大枠をつかむ必要性が生じるのです。専門人材は細部に目が行き届く代わりに、大局が見えづらくなることもあります。もちろん、優秀なAI人材やデータサイエンティストは細部と俯瞰をバランスよく見る能力を備えていますが、全員がそうではありません。

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