「NTDsの撲滅には、日本の力が必要です」 熱帯感染症の権威、ホッテズ教授に聞く
――こういった問題を解決するために、何が必要でしょうか。
国、研究者、製薬企業など、関係する多くの人たちが一緒に取り組んでいくことが必要です、そのためには対話が必要で、それを実行するための枠組みが必要です。
この意味で、2013年に日本でGHITファンド(グローバルヘルス技術振興基金)が発足したことはバネになると思います。GHITファンドは、外務省や厚生労働省という国の機関とビル&メリンダ・ゲイツ財団、日本の大手製薬会社が共同で設立し、HIVやマラリア、結核、NTDsの医薬品開発に対して、大学などの研究機関と創薬企業の橋渡しや研究開発費の助成などを行っています。
世界は日本のリーダーシップに期待
そうやって開発された医薬品のデリバリーにまで関与するというしくみは、日本発のものですが、アメリカやカナダ、英国などでも同様のものを作れる可能性はあると思います。日本はサイエンスの側面で、グローバルリーダーになる可能性を持っています。しかしそれにとどまらず、資金調達の方法を開発し、有効なビジネスモデルを作ることについても、世界は日本のリーダーシップに期待しています。
――医薬品開発のスケジュールはどのようになっていますか。
対象のNTDsは17種類ありますから、それぞれタイムラインは異なります。が、メジナ虫症(ギニアワーム)は2~3年で制圧が可能になると思います。また、リンパ系フィラリアとトラコーマは早ければ2020年に解決できる可能性があります。
ただ、まだ治療薬もワクチンも開発されていないものもたくさんあります。でも、そのうちの、シャーガス病や鉤虫、住血吸虫、リューシュマニアなどは、GHITが研究開発を加速させていますので、その次の段階で解決できる可能性が高まっています。
WHOが2020年までにNTDsのうち10種を制圧するという目標を公表していますが、どのようにひとつひとつに対応しビジネスとしても成立させていくか、というロードマップはありません。