「NTDsの撲滅には、日本の力が必要です」 熱帯感染症の権威、ホッテズ教授に聞く

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もうひとつは、こういったパッケージ化した治療薬だけでは足りないケースへの対応です。具体的には、NTDsや結核、マラリアの医薬品研究開発を専門に行う非営利団体、PDP(Product Development Partners)とのパートナーシップによって、ワクチンの開発を進めています。

私のラボには40人を超えるNTDsの研究者がおり、鉤虫、住血吸虫、シャーガス病、SARS、MERSなどの、大手製薬会社だけではできないワクチンの開発に取り組んでいます。私たちの間では「Anti-poverty Vaccine」(反貧困ワクチン)と名づけています。こういった研究全体のリーダーシップを取っています。

――「速効パッケージ」で使われているような飲み薬とは異なり、ワクチンの場合、医療者が不足している地域では誰が接種するのかといった問題や、電力供給の不安定な地域が多いために適切な温度管理が難しい、などの問題があるように思えます。

たしかにワクチンは飲み薬に比べれば管理が難しいですが、NTDsの制圧、あるいは撲滅のためのポテンシャルやインパクトが非常に大きいというメリットがあります。長期的な視点に立ってみれば、ワクチンで予防することによって、より早くNTDsを制圧することができるのです。

一方で、「速効パッケージ」にも未解決の問題点があります。流行地域の人々に、正しい使い方が伝わっていないことが多いのです。医師がいないために適切な処方をされず、薬局で漫然と売られていることも多い。このため乱用されてしまい、薬剤耐性の問題が起きているのです。

ところが、大手製薬会社にとって、NTDsはビジネスになりにくい。心臓や糖尿病の薬、降圧剤のように長期間、継続的に飲まれる薬と違い、感染症は短期間で治癒しますから服用は一回きり、と言うことも多い。これではビジネスになりにくい。大手製薬のパイプラインになかなかのってこないのです。

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