小さな暮らしを始めたことで、モノが減って時間が増えました。それは私に快適な暮らしをもたらしました。最初は荷物を減らすということは、狭い家で快適に暮らすための手段だったはずです。なのにいつの間にか「モノが少ないこと」に価値を見出し、私にとって小さな暮らしが目的になってしまっていました。
家が狭いと掃除する時間が少なくてすむから自分の時間が増える、荷物を減らしたら探し物する回数も激減するから、さらに時間は増える。部屋数が1つしかないと電気代も少なくてすむからお金も浮く。
今まで私は、この増えた時間をたいして有意義に使うことなく、ただただスマホでSNSを眺めたり、マンガを読んだりしてきました。浮いたお金をコンビニでお菓子を買うのに使ってきました。
どっちも悪くないし、時間もお金も有意義に使おうが無為に過ごそうが、その人の勝手ではあるのですが、この浮いた時間とお金で陶芸を始めたことで、私の生活は見違えるほど豊かになりました。
自分で作ったマグカップで飲むコーヒーほどおいしいものはない
手ろくろを使って、自分で菊練りした陶芸用粘土を手でつまんで形にしていく。思ったような形がなかなかできない、じれったさも醍醐味です。初心者のへたっぴでいびつな器も、釉薬をかけて本焼きすれば、それなりの雰囲気を醸し出して仕上がるとこもイイ。
自分で作ったマグカップを持ち帰り、夫に「上手にできてるね」って褒めてもらう。そして、そのマグカップでコーヒーを淹れて2人で飲む。スーパーのPBブランドの安いコーヒー豆だったとしても、どんなおしゃれなカフェのコーヒーよりもおいしく感じます。
陶芸を始めてから、ちょっぴり荷物は増えましたが、マニキュアを塗るのをやめ短く切り揃えた爪を眺めながらキーボードを打つ日々は、以前よりもはるかに喜びに満ちています。
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