港区マダムの「秘密の陶芸教室」で知る幸せのコツ ろくろを回して知る、人生を小さく豊かにする術

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小さな暮らしを始めたことで、モノが減って時間が増えました。それは私に快適な暮らしをもたらしました。最初は荷物を減らすということは、狭い家で快適に暮らすための手段だったはずです。なのにいつの間にか「モノが少ないこと」に価値を見出し、私にとって小さな暮らしが目的になってしまっていました。

器は自作、箸置きは崎陽軒のしょうゆ入れ、お箸は100均。どれもお気に入りです(筆者撮影)

家が狭いと掃除する時間が少なくてすむから自分の時間が増える、荷物を減らしたら探し物する回数も激減するから、さらに時間は増える。部屋数が1つしかないと電気代も少なくてすむからお金も浮く。

今まで私は、この増えた時間をたいして有意義に使うことなく、ただただスマホでSNSを眺めたり、マンガを読んだりしてきました。浮いたお金をコンビニでお菓子を買うのに使ってきました。

どっちも悪くないし、時間もお金も有意義に使おうが無為に過ごそうが、その人の勝手ではあるのですが、この浮いた時間とお金で陶芸を始めたことで、私の生活は見違えるほど豊かになりました。

自分で作ったマグカップで飲むコーヒーほどおいしいものはない

手ろくろを使って、自分で菊練りした陶芸用粘土を手でつまんで形にしていく。思ったような形がなかなかできない、じれったさも醍醐味です。初心者のへたっぴでいびつな器も、釉薬をかけて本焼きすれば、それなりの雰囲気を醸し出して仕上がるとこもイイ。

ペットをモチーフにしたマグカップで、朝にコーヒーを飲むのが至福の時間です(筆者撮影)

自分で作ったマグカップを持ち帰り、夫に「上手にできてるね」って褒めてもらう。そして、そのマグカップでコーヒーを淹れて2人で飲む。スーパーのPBブランドの安いコーヒー豆だったとしても、どんなおしゃれなカフェのコーヒーよりもおいしく感じます。

陶芸を始めてから、ちょっぴり荷物は増えましたが、マニキュアを塗るのをやめ短く切り揃えた爪を眺めながらキーボードを打つ日々は、以前よりもはるかに喜びに満ちています。

小さく暮らす
「チェーン店最強のモーニングを探して」の大木奈ハル子さんの短期集中連載です。連載一覧はこちら
大木奈 ハル子 ブロガー・ライター

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おおきな はるこ / Haruko Ookina

40代のサブカル好き主婦ブロガー・ライター。東京都港区の、狭くて古い(30平米築50年)ボロマンション在住のミニマリストで、夫と猫と同居中。趣味はチェーン店の朝メニュー食べ歩き、特技は節約とDIY。日本聴導犬協会の、子犬預かりボランティア活動中。著書に『台所図鑑』(大和書房)がある。テレビ出演は『THE TIME,』(TBS系)など。『東洋経済オンラインアワード2023 クリエイティブ賞』受賞。アメブロ公式ブロガー。
アメブロ:https://ameblo.jp/1room2live/
朝メニューブログ:https://865.games/
X(旧ツイッター):@tei_nai

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