「大会場でライブしたい」地下アイドルの大胆秘策 「個人では相手にされず…」ヤギヌマメイの挑戦

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実はライブアイドルの世界においては、自らがプレイヤーのまま会社を立ち上げる人は意外と少ない。特にソロアイドルともなると、さらに少なくなる。

もちろん資金的な問題もある。それまで所属してきた事務所を独立して個人事務所を立ち上げる人は多いが、最初からフリーで一から作り上げる例はあまり聞いたことがない。筆者が知る限り、フリーアイドルから立ち上げるのは珍しいケースだろう。

どうなるかわからないがとにかく前に進むという強い決意を語ってくれた(写真提供:ヤギヌマメイさん)

夢を叶える約束のチケット

会社を大きくするためには自らが売れるのが一番早い

「ぬぬぬ」は所属アーティストがヤギヌマしかいないわけだから当然のこととも言えるが、そう簡単なことではない。

一概には言えないが、大きな会場でワンマンを成功させることはアイドルとして一つの指標になる。自らが売れているかどうかを測るのには一番わかりやすい。

そのうえで、ヤギヌマがワンマンライブを開催するべく会場と交渉するために用意したのが、冒頭で紹介した約束チケットだ。

この500円の約束チケットを会場のキャパシティを満たすだけ売り、それを材料として交渉してワンマンを開催しようというのが狙いだ。

「今の自分の集客では会場からOKが出ないのはわかってるし、かといってSNSのインフルエンサーとして有名になってから交渉というのも自分のやりたい形ではないと思って。それなら署名活動じゃないですけど、先に『これだけの方たちが期待してますよ』っていうチケットを売ってしまおうと思ったんです」

それがこの約束チケットというわけだ。この約束チケットそのものはライブの入場チケットではない。「ワンマンライブ開催のあかつきには駆けつけるよ」という有料のファンの署名、約束手形となる。

いち企業の代表としてこのアイデアを、みなさんはどうみるだろうか。良いアイデアだと思う人もいれば、浅はかなアイデアだと思う人もいるかもしれない。様々あるだろう。

だが、これはセルフプロデュースアイドルが起業して自らのワンマンライブを成功させるために捻り出したアイデアだ。この正解の答え合わせは、チケットにある2025年7月にわかるだろう。

ひとりのソロアイドルがフリーランスから起業し、自らの手で会社を大きくし自分も売り出し、ライブアイドルの世界から這い上がる

そんなサクセスストーリーがあってもいいのではないだろうか。

来年の夏、ヤギヌマメイがそのステージで輝く姿を願ってやまない。

*この記事の前半:「カワイイって言えよ!」地下アイドル、変えた一言

松原 大輔 編集者・ライター

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まつばら・だいすけ / Daisuke Matsubara

富山県出身。編集者・ライター・YouTubeプロデューサー。中央大学法学部卒。在学中より故・永谷修氏に師事。大学卒業後、講談社生活文化局にて編集見習いとなる。その後、文藝春秋『Sports Graphic Number』編集部などで編集者・記者を経て、2018年に独立。書籍の企画、編集や執筆活動、YouTubeの動画制作・プロデュース、アーティストマネジメントなどを行っている。

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