「大会場でライブしたい」地下アイドルの大胆秘策 「個人では相手にされず…」ヤギヌマメイの挑戦

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現在、ヤギヌマは毎月1~2本、主催イベントを行っている。

ライブ会場とのやり取りはもちろん、出演者のブッキング、各種告知、リリースの作成など様々な業務を、アイドル活動の傍ら「ぬぬぬ」の代表として行っている。

これがいかに大変なことかというと、普通にこのイベント企画・運営を専門の仕事として行う企業や個人が存在するというところで、だいたいは理解していただけるだろうか。とにかく大変なことが多い。

筆者も定期的に音楽イベントを開催しているが、様々な雑務が多く、その大変さを実感している。それをアイドル活動の傍らでかなりの本数を行うのだから、それだけでもすごいことだ。ちなみにヤギヌマの年間ライブ本数は、ゆうに200本を超える

もちろん数だけで言えば、毎日ライブをやっているアイドルもいるような世界なので、そこを一概に競うものではないだろう。だが、ワンステージ、ワンステージ真剣にこなすとなれば、この数は相当なものになる。

かなり大変なことではあるが、その甲斐あってこの3年間でアルバイトで生計を立てることから脱し、きちんとアイドルとしての売り上げやイベント事業で収益をあげ、自らも生計を立てられるように成長してきた。

フリーランスや起業家であれば頷く人も多いだろうが、最初の3年間は本当に厳しい時期である。そこを乗り切ったのは大きいだろう。

ライブではお客さんに向けてワンマンライブへの熱い想いを語る(撮影:松原大輔)

下に見られる「セルフプロデュースアイドル」の現実

そんなヤギヌマがアイドル活動5年目、コロナ禍において会社を立ち上げたのは一体なぜなのか。単刀直入に聞いてみた。

「活動を長くしていくうちに(渋谷の大きなライブハウスで)ワンマンをやりたいという目標ができたんです。でもフリー、ましてやソロのセルフプロデュースアイドルだと厳しいということに気がついたんです。会場を借りるには大きな事務所に入るか会社でのやり取りかの二択になってたんです」

ずばり言うと、フリーのセルフプロデュースアイドルは、まず相手にされない。信頼はもちろん、その大きなイベント会場が企業として、誰かもわからない個人を相手にしないのは、ある意味当然の対応であろう。

ましてや相手は大きく売れていないライブアイドルだ。簡単に交渉できるものではないだろう。

動かす金額や信頼の問題はもちろん、取引相手としていち個人では成立していないとみなされるのは、残念ながら仕方のないことだと言える。

「地下アイドルっていうのもそうだし、フリーのアイドルだと下に見られるというか、話し合いすらできないこともあったんです。でも会社の代表になったら、周りの人たちもそういう風に対応してくれるようになったので変わりましたね」

残念ながら彼女の言葉は、多くのフリーのアイドルが抱える壁、現在地を如実に物語っている。それを会社組織にすることで脱却を図ったのだ。

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