大谷グローブ飾った市長は結局何がマズかったか 実は安易に触れるにはリスクが高い案件だった

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とはいえ、首長たるもの「実物を見たい」という市民の要望もまた、尊重しなければならない。ここでも好事例を紹介すると、愛知県大府市のように、小学校が休校日で、グローブが使われない土日のみ展示するという形が考えられる。

大谷選手の名言として、よく知られるものに「憧れるのをやめましょう」がある。2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、チームメイトを鼓舞し、侍ジャパンを王座奪還に導く原動力になったフレーズだ。

皮肉にもこのフレーズは、今回の騒動にも、ドンピシャで当てはまる。「オオタニサンのグローブだよ」と偶像崇拝するのも、転売をもくろんで金銭的価値を帯びさせるのも、どちらも「憧れ」を具現化した行為である。

教育の未来を預かる大人の使命

極論を言えば、大谷選手からグローブが届いたことすら、わざわざ告知しなくていいのではないか。ただ備品が3つ増えただけ。台帳に記入して、体育倉庫に放り込む。それは決して、善意で贈られたグローブを雑に扱っているわけではない。

人は成長すればするほど、ブランドや肩書といった、付加価値に踊らされがちだ。しかし時には、物事の本質を見つめ、本来あるべき価値を見いだすべきタイミングが来る。その点、大人よりも子どものほうが、むしろバイアスがかかっておらず、フラットに価値を評価できるのではないか。

大谷選手が、市長が……などといった権威を離れ、まさに憧れるのをやめた先に、明るい世界が待っている。よろいを脱ぎ捨てて、そのもの自身が持っている「本来のポテンシャル」を引き出そうとすることこそが、教育の未来を預かる、私たち大人の使命だと信じている。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。現在は東洋経済オンラインのほか、ねとらぼ、ダイヤモンド・オンライン等でコラム、取材記事を執筆。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid
公式サイト:https://zuru.org/

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