大谷グローブ飾った市長は結局何がマズかったか 実は安易に触れるにはリスクが高い案件だった

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だれしも対等で、だれも特別扱いしない。おそらく、そのような思いから、特定のどこかではなく、すべての小学校を対象としたのだろう。右利きと左利き、両方のグローブが送られていることからも、細かな配慮を感じる。

こうした状況証拠から考えると、大谷グローブはそもそも、「飾る」のに適していないのではないか。「大谷翔平からのプレゼント」として考えれば、そこに付加価値が生まれる。しかし、大谷選手からしてみれば、「ただのグローブ」でしかないとすれば……。付加価値はノイズでしかなくなり、送り主と受け手の認識に、大きなギャップが生じてしまう。

付加価値と言えば、フリマアプリ上では一時、グローブの「タグ」のみが出品されていたという目撃情報もあった。商品の真贋は不明ながら、こちらも同様に、本来価値が生じてはいけないポイントに、金銭的価値を見いだしていると言える。

それにしても、なぜ別府市長は炎上したのか。ひとつ考えられるのは、市区町村長といった首長が、権力の象徴と位置づけられていることだ。そもそも、首長も議員も、国政も地方政治も問わず、政治家は常に権力監視にさらされている。

炎上したケース、そうでないケース

鋭い目を向けられるのは、SNS発信も例外ではなく、内容によっては親しみやすくなる一方、炎上のリスクも秘めている。その点、今回の「大谷グローブ」は、安易に触れるにはリスクが高いように思える。

というのも、子どもたちに委ねられたグローブが、「独占的な権力維持」や「自身のイメージ向上」に使われているのでは……といった疑念が(意識していないにせよ)どこかで透けてしまえば、すぐさまバッシングの材料になり得るからだ。

選ばれてナンボの市長職は、万人にチャンスを与えようとする、今回のグローブ配布と相性が悪い。だからこそ、いかに対応するかが重要となる。

その点、上で紹介したキャッチボールをする総社市長の動画は、うまく対処できたケースと考えている。

わずか10秒ながら、「すでに小学校へ届けられている」「小学生の野球技術の向上に寄与している」「みずからが市民と同じ目線に立っている」といった要素が盛り込まれている。これを無意識に投稿していたのであれば、かなりの手だれと言えるだろう。

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