孫:英語はビジネスのコミュニケーションもできるし、1時間ぐらいの講演だったらできると思います。ただ、言語はAIにまったく影響を受けないから、英語ができなきゃダメとか、日本語が廃れていくということはないでしょうね。
つんく♂:それは英語や日本語に限らず?
孫:翻訳や通訳の精度がこれからも、ものすごく上がっていくでしょうから、訳せないほどマイナーな言語でないかぎり問題ないと思います。
誰でも物怖じせずに他国の人と話ができるような世界に、ますます進んでいくと思います。
「訳せない」部分に「日本の強み」がある
孫:そういえば、僕は自分の英語力や翻訳ツールの精度が上がるほど、むしろ「日本的な考え方」や「うまく翻訳できない表現」に気づくようになってきたんです。
これは訳せないし、いくら言葉で説明してもたぶんピンとこないだろうなという感覚がたくさんある。それに気づいたときに、日本人の感性って本当にすごいと気づいて、ますます日本語や日本のコミュニケーションが好きになりました。
つんく♂:食べ物もそうですよね。和食にしか出せない「そうそう、このうま味!」っていう感覚、ありますよね。
孫:海外にいると、このうま味を理解できる日本に生まれてよかったって、ますます感じますよね。
僕は日本って、AI時代にこそ、ものすごい可能性がある国だと思うんですよ。世界の人たちはまだ、この日本にしかない感覚を知らないんですから。
日本のよさを理解してくれる感受性の高い人たちも増えていくと思います。その結果、日本的なものの考え方や日本的な料理や音楽など、日本文化を好きになる人が増えていくだろうなと感じています。
つんく♂:国や土地の文化って、おもしろいですよね。東京と大阪でも全然違うし。
孫:そうそう。全然違いますよね。たとえば大阪の文化は、関東や東北から見るとちょっと暑苦しく感じるし(笑)。大阪と韓国はちょっと似ていたりもするんだけど、僕はちょっとそこまで暑苦しくできないんですよ。
つんく♂:ノリの違いですね。孫さんのマインドはきっと、九州マインドですね。ちょっとシャイなんですね。
孫:そうそう。九州の人たちってシャイなんです。よくご存じで(笑)。