海外でも「高齢化社会で経済伸び悩む」最大の原因 労働人口の減少が新たなインフレにもつながる

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日本の株式市場は1980年代末に到達した目がくらむような高値を、30年たっても更新できていない。過去30年間で、日本のGDP(国内総生産)成長率が年率2パーセントを超えたのは5回だけだったが、その前の30年間には2パーセントを超えなかったのが2回だけだった。

経済学者が言う「長期停滞」、すなわち先進国世界における経済成長の長期的な鈍化について考えるとき、この状態に陥っている国々のなかで日本が長くリーダー的存在であることを忘れてはならないが、もうひとつ注目に値するのは、日本が高齢化のリーダーでもあり、それが長期停滞と無関係ではないということだ。経済成長の鈍化は持続的な低インフレを伴う。日本の年間インフレ率が2パーセントを超えたのは、過去30年間で二度だけである。

経済は人口の増加を前提に進んでいく

わたしたちが知る経済は、物価上昇と失業のトレードオフに翻弄されながら進んでいくものだが、そのような経済は若い人口の増加を前提にしていたと言っていい。その前提が崩れると、よくても経済は伸び悩む。そして持続的な低インフレと相まって、低金利にも大規模な景気刺激策にもあまり反応しなくなるようだ。実際に高齢化社会は、景気刺激策が打たれても、それで不景気とデフレを防ぐのがやっとという状態になっている。

高齢化が進むイギリスでは労働争議の件数が減っていて、1970年代や80年代前半に比べると数分の1でしかない。多くの経済国で完全雇用がほぼ達成されているにもかかわらず、労働争議は減っている。かつて高雇用は労働の戦闘性を保証すると思われていたのではなかっただろうか。どうやら世界経済も、世界人口と同じく、老化しつつあるようだ。

高齢化社会で経済が伸び悩む最大の原因は、労働人口の減少にある。日本はその最たる例かもしれないが、アメリカのように以前は人口増加と経済増加が調和していた国々にもあてはまる。

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