先進国で「出生率低下」嘆く人に知ってほしい視点 大家族を作らないという選択は「利己的」なのか

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
集団の価値観で出生率は変わるのか(写真:Graphs/PIXTA)
日本をはじめとする先進諸国では都市部を中心に出生率の低下が社会問題となっていますが、超正統派ユダヤ教徒であるハレーディームは、アメリカ国内においてほぼ例外なく都市部に居住しながらも出生率が高く、人口が急増しています。
宗教や信条といった集団の価値観が、出生率に影響することはあるのでしょうか。ロンドン大学の人口学者であるポール・モーランド氏が、2人の女性の事例を紹介しつつ解説します。
※本稿はポール・モーランド氏の新著『人口は未来を語る』から一部抜粋・再構成したものです。

出生率の高い白人集団「ハレーディーム」

超正統派ユダヤ教徒(ハレーディー、複数はハレーディーム)もまた、アメリカで人口拡大中の白人集団である。ほかの高出生率のマイノリティとは異なり、ハレーディームはほぼ例外なく都市部に住んでいて、しかもだいたいは出生率が低い州の都市部である。

それにもかかわらず、ブルックリンのウィリアムズバーグやバラパークには数万人規模のハレーディームのコミュニティが複数あり、その家族規模は世界でもっとも出生率の高い国々の家族と変わらない。人口は急増していて、今のところその勢いが鈍る気配はなく、当然のことながらコミュニティは新たな住宅を求め、居住域を広げつつある。

次ページ人口の60パーセントが「20歳以下」
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事